読書note2:『父として考える』
『父として考える』
著者:東浩紀・宮台真司
発行:2010年7月10日
ゼロ年代にオタクを擁護した東先生と、90年代に援交少女を擁護した宮台先生が、2000年代に父となり、「父として」語ることで、かつて自分たちが擁護した社会のままで子どもが幸せな大人になれるのか、という問いに向き合っています。
対談のテーマは家族から始まり社会や教育、民主主義についてというふうに動いていきます。
私はこの社会でこれからどう生活していこうか、ということを昨年あたりから考えるようになりました。
その具体的な方向性のようなものがこの本を読んだおかげで見えてきて、とてもエネルギーが湧いてきました。
私は父ではありません。
けれど、社会の中で生活し、労働し、広い意味で子どもを守りたいと思うしし、可能か不可能かは別として、みんなで幸せになるためにはどうしたらいいのかと常に考えます。
性別役割分業という価値観が徐々に薄れつつある現代社会において、父として考える必要のあること、父としてすべきことについては、もしかしたら大人なら誰でも考えたり悩んだりする必要のあることになってきているのかもしれません。
その意味でこの本は誰にとっても興味深いのではないかなと思いました。
少なくとも私にとっては身近なトピックであり、重要なテーマでした。
本文中にある、「学歴や資格は確かにどこに行っても通用するものであるが、それは本来その人間固有の才能が花開かなかった時のためのリスクヘッジの道具でしかないのに、不安ベースの社会の中でリスクヘッジの部分が重要視されすぎてきている。子どものお受験やいい就職のための大学進学など、リスクヘッジのための選択が第一に来ていることが様々な歪みを生む」(要約)、という話は色々な話に置き換え可能で面白かったです。
その他にも、「子どもをつくることには高いコストとリスクしかないのか?」「どうして周りの人間とうまくやれないのか?」「どうして孤独な人が増えているのか?」ということなどを考える際の助けとなるようなお話がたくさんあります。
個人的には、第四章にある『ロマンがなければ現実は動かない』という節が面白かったです。
最近の漫画業界の傾向に対する言いようのない違和感と不安のようなものが、少し明瞭になりました。
現代社会で求められる物語と、現代社会にこそ必要なのではないかと思われる物語について考えている自分にとって、いろいろ理解する糸口が得られたような感覚です。
その他にも細かくたくさん、人と共有してみたい話がいくつも出てきました。
実際に、この本を読んでる途中で自分の隣に座っている人に「ねえねえ、この本いつも私たちが話しているようなことについて書かれてていいよ。読んでほしい」と言いました。
読んでもらった後に話をするのも楽しみです。^^
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