舞台記録 2024/5
5/3 人間国宝の競演 ~友枝昭世と山本東次郎の至芸~ 能「羽衣」舞込 友枝昭世 狂言「素袍落」山本東次郎
「羽衣」2度目。小鼓の師匠や兄弟子さん方(能楽ではあまりこのような言い方はしないですね)に強くおすすめされたため赴いた。
素晴らしい能だった。出がすごかった。一声でシテが天人であることを感じた。装束も素晴らしい。席が遠かったため、細かい模様まではみられなかったが中も外も色が赤く、特に長絹の鳳凰に迫力があった。面は万媚であったという。非常に華やかで、ぞっとするような艶やかさがあった。
友枝昭世は何も能のことを知らないときに「田村」と「白田村」を見たのみで、今回がしっかり見た初めての友枝昭世の能だった。友枝昭世の能、またチケットを取りたい。
5/10 銕仙会定期公演〈5月〉 能『班女 笹之伝』鵜澤久 能『鵜飼 空之働』観世宗家 @観世能楽堂
『班女 笹之伝』初見。非常に良い能だった。空腹と疲労と寝不足の三重苦だったが、前場から魅了された。前シテが扇を拾えず舞台を探っている間もよかった。後場は舞がよかった。橋掛かりで袖をかけている所が印象的だった。型の雰囲気が急に変わり、班女の世界が浮き上がっているように見えた。
鵜澤久という人は姿がいいなと思う。立っているだけで能っぽく、世界が広がっているように見える。一つには彼女の背があまり高くないのも効いているのではないかと思う。
前場の装束が良かった。面ともあっていて雰囲気が調和していた。後場でガラリと雰囲気が変わった、片肌脱ぎで水色が見えていたのは面白かったが、前場と比べて後場の装束は少し微妙だった。
お囃子も良かったように感じた。
『鵜飼 空之働』空之働、初見。鵜飼は4回目くらい。かなり良かった。地謡も素晴らしかった。前場はとにかく観世宗家に合っていた。ニンだという感じがした。鵜之段が非常に面白かった。間狂言が出ず、すぐに後場にうつるということで、長い長い早笛が面白かった。後場の面がすごかった。目が光っていたし、生きているように見えた。他の面とは全く違う顔だった。
5/11 国立能楽堂5月普及公演 狂言『入間川』野村万蔵 能『加茂物狂』@国立能楽堂
狂言『入間川』初見。なかなか面白かった。間のとり方が面白かった。
能『加茂物狂』つまらなかった。地謡は良かったが、シテの舞がしっくりこない。舞が重すぎるというか、ベチャベチャしていて、物狂という感じがしなかった。ワキや地謡、装束、曲などは良いのに、すべてがバラバラで居心地の良くない空間だった。
装束は良かった。途中からの長絹の鳳凰に裾に桐の花(違うかも)で、とてもきれいだった。下も赤地に霞に花車(多分)。若干昭和の振袖っぽい感じで面白かった。
面はきれいで少し青白く見えた(鈴木慶雲作 若草女)。この面がシテの雰囲気と合っていないのがいちばん気持ち悪かった。
加茂物狂自体はおもしろかった。クセがとても良い。
5/12 能に親しむ―観世会― 仕舞『清経クセ』『善界』能『小袖曽我』関根祥丸 井上裕之真
『小袖曽我』初見。非常に良い能だった。立役がどれも素晴らしかった。あとは笛がとても良かった。シテの一句一句がしっかりと頭の中に入ってきてスルスルと話が進んだ。前半はシテツレともに気持ちの良かった。後半の舞も面白かった。男舞の五段で、かっこいい舞だった。男舞とはかくあってほしいという感じだった。烏帽子に飾り紐のようなものがついていて印象的だった。狂言の装束が黄色でかわいい。