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高松市美術館「時どきどき想像」〜蝸牛あやのアート
本日(2020年12月5日)の昼過ぎ、香川県の高松市美術館へ行った。
「時どきどき想像」というテーマで、5人の現代アーティストの作品が展示されていた。
中でも、「蝸牛あや」さんという方の作品が心に残ったので、感想を記しておきたい。
(撮影OKだったので、展示会場で写真を撮らせてもらった)
蝸牛あやさんの作品について
展示会場の最初の方に飾られていたのは、このような作品だ。
一見、油絵の点描かと思ったが、よく見ると、布にひとつひとつ糸を縫うことで、このような形を創り出しているのである。
ひと針ひと針、このようなものを縫っていくのは、膨大な時間がかかるだろう。油絵の具でさっと描いてしまったほうが、楽そうである(しかも、遠目で視ると、僕みたいな素人にはどっちか分からない)。
思わず「まったくなんて徒労なんだろう」と言いそうになった。
早く作品をつくって、さっと売って金にする。そのほうが経済効率も良いじゃないか。
しかし、その後で、以下のような作者紹介の文章を見て、少し考えが変わった。
「「祈り」の手段として長い歴史をもつ刺繍に感銘を受け、様々な地域の技法を学ぶ。現代において形式化した祈りを、一針一針思いを込めた作品を通してその本質へ導く。」
彼女にとって(というか刺繍をする人にとって)縫うことは、祈りの行為なのだ。
祈りとは、思いを込めることだ。
そして思いを込めるとは、すぐにあちこち気持ちを移すのではなく、そこに「心を留め置く」ということだと思う。
日本社会で生きていると、日々、効率的に生きることを求められるし、自分も無駄をなくしたいという気持ちがある。
効率を求める中で、見ないで過ごすものが増えていく。
そうした中で、アートというのは、
「なんとなく通り過ぎてしまうものの前で、あえて足を止めてみること」
「あること・ものに、心を向け続けること」
ではないか、という気がした。
そう思った瞬間、自分の体や呼吸がいつもより深く感じられた気がした。
自分が、この命を後悔なく生きているかどうか。
そんなものも、この先にあるのかもしれない。
これは作品評でもなんでもない。
ただ、深い気付きをくれたことへの感謝と、慌ただしい日々の中で己の心を見つめ直すことを忘れている自分への戒めである。