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水の空の物語 第5章 第19話

「はい、優月さん」

 風花は緑色の星水粒を数個、両手に乗せ、優月に差し出した。

 優月は手のひらで受け取る。すると、星水粒は光を強めた。まるで、優月に光を届けようとしているようだった。

 風花は、夏澄に訊いてみる。

 おまけだよと、夏澄はわらった。

「本物の星水粒の光は強くならないけどね。幻術だから、アレンジはできるんだ」

 オレもオレもと、飛雨が立ち上がった。

 青い星水粒を集める。

「はい、夏澄っ」

 両手に乗せて、満面の笑みで夏澄に差し出した。

「ありがとう」
 夏澄がいうと、青い星水粒はふわっと宙に浮く。
 くるくると夏澄の周りを回り始めた。

「夏澄くんは青が似合うね」
「だろ? 風花」

 飛雨は破顔する。

 もっと夏澄に渡そうぜと、風花の腕を引いて蒼天樹のほうに駆け出した。

「幻影だからいいけど、それは本来、蒼天樹を護るものですからね」

 スーフィアが嗜めるようにいう。

「分かってるよ」

 飛雨はひょいひょいと、星水粒をつまんで抱えていく。

 風花と一緒に、夏澄と優月を粒まみれにした。

 


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