水の空の物語 第5章 第6話
「行、きたい……ー」
風花は肩を落とし、ひざに顔を押しつけた。
行きたい。
門限など、無視してしまいたい。だが、あれほど心配されたあとだ。それもできない。
よく考えたらゴールデンウィーク中で、学校がない。昼間は一緒にいられるのだから、運がいい。
そう思おう。
「優月さん、いつまでいるの?」
「五日くらいだって聞いてるよ」
「そんなにいるんだ」
優月が、五日も春ヶ原を離れるのは意外だった。
優月は草花たちの、保護者のようなものだ。彼女たちがいる場所をそんなに離れて、心配ではないのだろうか。
「そうだよな。すぐ帰るだろうと思ってたのに」
「でしょ?」
「優月、春ヶ原にいたくないのかな……」
飛雨はぼそっとつぶやいた。
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