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水の空の物語 第1章 第5話

「おい、お前っ!」

 ふいに背後で声がした。 ぱん、と、風花は現実にもどされる。

 鋭い瞳の男子が仁王立ちしていた。

 きらきらしていた風景が、いきなり変わる。風花は呆けてしまった。

「お前、いい加減にしろよっ。何度も何度も夏澄かずみの周り、徘徊しやがって!」

 夏澄……。あの精霊さんのこと?

「七回目だそ、七回目っ。なんで何度もオレたちの前に現れるんだよ」

 風花はもう一度精霊を見た。

 逢ったことなんてあるはずない。いくら記憶を辿っても、思い当たらない。

「あの、人違いなんじゃ……?」

「んなわけあるかっ」

 彼は小石を風花の足元に投げつけた。

「お前、動くなよ!」

 地面を蹴って飛びかかってくる。風花は悲鳴をあげて駆け出した。彼は腕を伸ばして、風花の頭を掴もうとする。

 間近まで迫った手にぎゅっと目を閉じる。そのとき、女の人の声が響いた。

「激高しすぎよ、飛雨ひう

 風花の目の前の空間が青く光って、少女が姿を現す。

 なにもなかったところに、人が現れた。

 少女は風花の腕を引いて、背後にかばった。





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