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水の空の物語 第6章 第22話

「お礼よ、風花」

 スーフィアの肩掛けは軽いのに暖かい。

「今回、風花は本当にがんばってくれたもの。風花の気持ち、すごくうれしかったのよ」

「霊力がないから、たいしたことはできなくて……」

「一生懸命な気持ちが伝わってきたから、それがうれしかったの。ねえ、風花。こうするとね……」

 こうすると、春ヶ原の幸せを感じ取れるわと、スーフィアは瞳を閉じる。

 風花も真似をしてみた。

 目を閉じて、辺りの様子を探る。

 まず、風に乗る花の香りがした。

 草花のわらい声が響いていた。

「優月たちは、前より幸せそうに見えない? 立貴も優月を見守ってくれるって。立貴は優月の悲しみに薄々気づいてたみたい」

「立貴くんが、ですか?」

「これからは、立貴も優月を護ってくれるわ。優月の憂いもいつか消えるわよ」

 ……そう、ですね。

 瞼の裏に涙が浮かぶ。

 優しい精霊には、幸せになって欲しい。
 願うように風花は思った。



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