水の空の物語 第1章 第9話
確かに風花は水辺が好きだ。
学校帰りに通るこの川原、愛犬の散歩で行く池のある公園。この辺りで一番澄んだ水が湧く湧水群も、たまに行く。
そこに本当に夏澄くんがいたの……?
やっぱりあんな風に優しく、水面を見ていたの?
想像すると、どきっとした。
遠くに立つ夏澄を見ると、体がふわふわ浮かぶように気が昂ぶる。
わたし、今本当に精霊と一緒にいるんだ。
風花はひざを抱え、夏澄とスーフィアに目を向けた。
本当に澄んだ瞳をしている。
言葉も立ち居振る舞いも優しげで、周りを浄化するように澄んだ雰囲気だ。
印象深い、瞳と髪。
夏澄は青い瞳と水色の髪をしている。スーフィアは海色の瞳に金の髪だ。
スーフィアの腰まである髪はウェーブを描いていて、やわらかく、弱い風でもふわふわ揺れる。
彼らが着ているギリシャ神話のような服もそうだ。重力がかかっていないように、さらっと裾が広がる。
なぜか飛雨だけは、黒髪に黒い瞳。服も人と同じだ。だか、人の持っていない凛とした美しさがあった。
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