水の空の物語 第2章 第26話
夏澄は風花とローフィを重ね、違うと分かり、また絶望したのだろう。
ああなった夏澄に、慰めは無意味だ。
飛雨にもできない。だから、彼はいらいらしている。
それに風花……。風花がローフィのことを知ったら、どう思うだろう。
ローフィは、風花とそっくりな、陽の精霊の少女だ。
夏澄と一緒に、水の精霊の国を元にもどす方法を探していた。そして、なぜか旅の途中で、急にいなくなった。
ローフィは夏澄と同じくらい、水の精霊の国を愛おしんでいた。
だから、自分の意思でいなくなったのではない。夏澄にはいえないが、きっとなにかあって、命が消えたんだろうとスーフィアは思っていた。
夏澄とローフィは両想いだった。
出逢ってすぐ親密になり、隣り合って咲く花のように離れたことはなかった。
そんなローフィに似た風花と、夏澄は出逢った。それ以来、ずっと混乱している。
「スーフィアはどう思うんだよ?」
「なにが?」
「風花は元精霊で、実はローフィさんなのか? それとも生まれ代わりか?」
飛雨はローフィを知らない。飛雨が夏澄と旅を始めたのは、ローフィがいなくなったずっと後だ。
スーフィアは、水の精霊の国に遊びに行ったときに、彼女に逢っている。親しかったわけではないが、噂もたくさん聞いた。
「どっちも違うと思うわ」
風花は純粋でいい子だ。見かけもローフィにそっくりだ。
でも、ローフィと同じかというと、違う気がする。元々、人と精霊を並べて考えることなんてできないから、答えなんて出ないけど。
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