[製品レビュー]ほぼファンレスミニPC「HiMeLE Overclock 4C」〜即メモリ、SSD増設

静音中華ミニPCを買ってみて1か月くらいたったので記録も兼ねてレビュー。

日本代理店:リンクスインターナショナルの商品紹介サイトより

なぜ購入しようと思ったのか

もともと私の自宅のPCの配置は、
パワーのあるデスクトップ → 別室
静音のファンレスPC →  普段作業をするデスクの上

としていて、うるさいデスクトップPCは別室に設置し、使用するときだけ起動してリモートアクセスする形で使用していた。

これまで使っていたファンレスPCは ECS製のLIVA Zという機種。Appllo Lake 世代の Pentium N4200という4コアCPUを採用していてTDPがなんと6W。そのため完全ファンレスPCを実現していた。
当然動作中も無音なため自室での使用は快適であった。静かなのでよく電源を切り忘れたりもしたが、そもそも消費電力が低いのでそれも気にならない。普段ブラウジングをする際はさほどパワーはいらないのでこのPCでも十分で、重い計算を走らせるときは別室のデスクトップを起動すればよかったので、このPCがメインPCであっても長い間不満はなかった。(かれこれ8年くらい)
ただ最近のwebサイトがかなり重くなってきている。単にブラウザChromeが重くなっているだけかもしれないが、このCPUでは徐々に不足を感じていた。

近年IntelのN100 CPUが消費電力が少ないながら性能がそこそこ高く、かなり世間の評判がよかったため、N100系を採用したファンレスPCが出たら買おうと待ち構えていたところだった。

そこでいろいろ探していたところ、最初にN100採用のファンレスのPC、HiMeLE製 Quieter4Cを発見した。ほぼ期待通りのスペックだったが、唯一メモリが16GB固定というところが気になった。近年Windowsもそこそこ重くなってきており、先を見据えてメモリを増設できる機種がないかさらに検索したところ・・・

そこで同じHiMeLE製のOverClock 4CというPCを発見した。CPUこそ下位のN95であったが、メモリ、ストレージが増設可能であった。ファンがついているもののかなり静かであるとのレビューを信じ、この機種を買うことに決めた。

もう一つ本音を言えば、同時期にまあまあ高価なPS5proが欲しくなったので、3万円くらいでメインPCを新調したかったということも理由である。やたら安いのもN100系PCの魅力である。

↓ PS5proに興味がある方はこちら(PS5pro初期レビュー記事)


開梱、そしてすぐ増強

たまたまAmazonでセール中だったため、実質28000円前後で購入でき、4日ほどで到着した。円安物価高の時代、この価格でWindows11proのPCを買えるのはありがたい。

外観

本体開封直後。フィルムが貼ってあり、その上にロゴシールが貼ってある。剥がすべきか・・・

メモリ、SSDを増設

最初からメモリを32GBに増設するつもりだったのでメモリと、ついでにm.2(NVMe) SSDも同時購入した。下記製品を挿入し、今のところ安定動作しているので、もし相性が気になる方はご参考まで。

メモリ:  Silicon Power DDR4-3200(PC4-25600) 32GB SO-DIMM 260Pin SP032GBSFU320X02
SSD:  Ediloca EN760 1TB PCIe NVMe M.2 2280

分解は背面から。100円均一のプラスドライバーだけでアクセス可能だった。外装はネジ4本のみ。

本体裏面。四隅に普通のプラスネジ。
裏蓋開放後。メモリに茶色の放熱シート(写真下部)が載っているので破らないように注意。

メモリ
メモリには最初から放熱シートが貼ってあり、裏蓋面と接するようになっていた。裏蓋全体がヒートシンクを兼ねているような設計思想だと思われる。この放熱シートはメモリ交換後も流用するので破かないように注意して取り扱った。

SSD
m.2は最初からネジ付きだったので気にする必要はなかった。
余談だが上記SSD、ヒートシンク付を購入したのだがヒートシンクを装着するとその厚みで筐体の蓋が閉まらなくなってしまった・・・今回はヒートシンクは断念。残念。
SSDにも厚めの導電性シートを張れば裏蓋と接触でき、メモリ同様に裏蓋面での冷却可能になりそうだった。今後実施するかも。

PC組み立てのプロの方はもしかすると部品の増強は1部品ずつ慎重に行うのが通例かもしれないが、私は面倒だったので初回起動前に全部差し替えてしまった。もしこれで起動できないトラブルが発生したときに初期不良との区別がつかなくなるのでお勧めしない。

OSのクリーンインストール

初回起動は問題なくクリア、初回サインインまですんなり進めた。ただこの製品のプリインストールOSはeMMCストレージに載っているため、速度的には心もとない。せっかく高速なNVMeのSSDを増設したのでこちらにOSを再配置することにした。
余談だが規格上の速度は
eMMC:400MB/s
NVMe 3.0 : 3.9GB/s

とのことなので10倍くらい違う。これはNMVeをメインドライブにしたくなる。

もうひとつの理由として、単に中華製PCは何が仕込まれているかわからず不安なので念のため自分で完全クリーンインストールしたいという理由もあった。HiMeLEは深圳の企業なので信頼度は比較的高めではあるが、念のため。それでもハードウェア内に巧妙にバックドアを仕掛けられていたらそれはもうどうしようもないので、こちらでできる限りの対策は実施し、覚悟の上で使用する。

HiMeLEは公式でクリーンインストール用のWindowsOSをダウンロードできるサイトを公開しているようだが、このサイトにあるファイルを使ってインストールしてしまったら上記不安は解消されないため、Microsoft公式のインストールツールを利用することにした。


Windowsのクリーンインストール方法(この機種の場合)

  1. USBメモリなど、PC起動時に読める外部メモリ、ドライブを準備する。多分16GBで足りる。32GBあると安心。

  2. Microsoft公式のWindowsダウンロードサイト(https://www.microsoft.com/ja-jp/software-download/windows11)からメディア作成ツールをダウンロードする。

  3. (2)のツールを使用。公式の手順に従って(1)のドライブ上にインストールメディアを配置する。基本的にツールの指示に従って作成するだけ。

  4. (Option) BIOSでeMMCの認識をOFFにしておく。この操作は必須ではないかもしれないが、インストールドライブを間違えると面倒なので念のため。BIOS起動は本体起動後に [del]キー 連打。設定変更後、いったん電源OFF。

  5. PC本体起動前に(3)のドライブをPCに接続しておく。

  6. PCをON後F7キーを連打し起動ドライブ選択画面を出す。*Overclock4Cの場合。PCによって異なるので注意。

  7. (3)のドライブを選択し、指示に従ってインストールを進める。時々再起動がある。

(Option)Microsoftアカウント入力の回避

Windows11からOS初回起動時にMicrosoftアカウントへの紐づけが半強制になった。勝手に紐づけされるといろいろ面倒なので私は普段これを回避している。以下手順のメモ。

まず
PCがネットワークが切断されていることを確認。Ethernetケーブルを外して入ればとりあえずOK。
「国または地域の選択」が表示されたところで
Shift + F10キー
を入力、コマンドプロンプトが表示されたら
oobe\BypassNRO.cmd
を入力しEnter、再起動。
再度同様い初期設定が進むが、ネットワークに接続しようとする画面の時に選択肢に
制限された設定で続行
の選択肢が増えているので、これを選んで進めればローカルアカウントのままセットアップを完了できる。

ここまででおおよそ初期設定は完了。Windowsのデスクトップ画面に到達し、あとはお好みでカスタマイズすればOK。

(参考)Windowsのライセンスについて

Windows11pro OEM版であった。

slmgr /dli コマンドの出力

中華ミニPCはコスト削減のため怪しげなボリュームライセンス形態などがよくあるらしいが、このPCに関しては特に問題なかった。
OEMライセンスはハードウェアに紐づけされるとのことで、OSを増設した別ドライブにクリーンインストールしても問題なく認証できた。

レビュー

その後いくらか触ってみて安定動作してきたところでの私の感想。

性能

不満なし、快適。N95ということで特別強力な計算力を期待したわけではないが、これまで使用していたPentium N4200よりも明らかに余力があるように見え、ブラウザの起動や操作、YouTube視聴時の挙動がきびきびしている。タスクマネージャでCPU使用率を観察しているとよく100%にはなるが、それほど無理している感じでもない。おそらくBIOSの初期設定で最大電力制限が低めに設定されている影響と思われる。パワーが不足していると感じる方は、BIOSで上限を上げることが可能。
N4200が明らかに時代遅れのCPUだったのでようやく令和のCPUを体感している気分。
今後気が向いたらベンチマークを回してみたりするが、いろんな方がすでに実施して数値を出していたりするので特に需要がなければ後回し。

静音性

当初の期待以上に静かだった。OSインストール時はおそらく最大負荷だったと思われるが、この時本体に耳を近づけると確かに高音の「キーン」というファンの音は認識できた。しかし普通に椅子に座っていると、別室の空調のファンの音と違いが判らない(音が埋もれている)くらい小さな音で相当聞き耳を立てないと聞こえないくらいだった。なんなら仕事で使っているノートPCのファンの音の方が断然うるさい。
CPU負荷が大きくないときはファンは動いていない?あるいは超低速で動作しているようでファンレスとの違いを感じなかった。これを書いているときは10月でまだまだ気温は高い方だがそんな環境でもファンが動作しているとわかるほど高速回転する機会にはまだ遭遇していない。
ファンレスのPentium N4200の時は夏場は心配になるくらい筐体が熱くなったことがあった。CPU温度は常に60度越えで扇風機を当てながら使っていたこともあった。「これはファンレス機を買った意味がないな」と思っていたので、いざというときに内蔵ファンが回ってくれる今回の機種の方が夏が熱い日本にとっては最適な装備のように思える。

筐体

薄くて良い。スタイリッシュに見える。冷却設計の思想的に上面面積を増やして冷却能力をUPさせる思想だと思われ、理にかなっている。が、板状であるためついつい上に物を置きたくなってしまうので注意。冷却を意識し、もし置くならば熱伝導率の高いものを置きましょう。アルミの置物とか。
起動中に触ってみると常に中央がほんのり暖かい。
そういえば上面に透明フィルムが貼ってあるが、これははがしてよいのだろうか?intelのロゴシールなどがその上に貼ってあり、透明フィルムごとはがしていいものか悩んでいまはそのままにしてある。冷却を考えるとはがしたい気もする。知見のある方のコメント求む。

消費電力

【2024/12/17更新】
ワットチェッカーもどきで消費電力を実測したので追記。
アイドル時:6W (これより下は見えなかった)
ブラウジング中:8-9W
高負荷時:17W (これより上は見えなかった)
*BIOSは初期設定。換装したメモリとSSD分も込み。

まだワットチェッカーで正確な計測はしていないが、アイドル時で10Wは切っていると思われる。最大でも15W程度とのほかの方のレビューがあった。気にせず常時起動できるレベルである。この辺りはBIOSの電力制限でもコントロールできる。電力制限を上げればパフォーマンスを上げられるし、その逆も可能。自身のスタイルに合わせお好みで。

電源

付属のACアダプタはUSB-Cで接続するもの。メーカー保証はないであろうが試しに別のメーカーのUSB-Cの65W電源アダプタを試したところちゃんと動作した。緊急時に代用できたり、外に持ち出すときも動かす手段が多そうなので良い。
本体側のUSB-C端子は電源専用のものとUSB 3.2 Gen2(DP対応)のものと2種あるが、電源専用端子は使わずに後者の端子にUSB-Cハブ(電源供給付き)を介して65W電源をつないでも動作した。作りに気が利いていて良い。

欠点

おおむね満足。その中で残念な部分を挙げるとすると、端子類、インターフェイスの配置。前面には電源スイッチしかなく、インターフェイス類は向かって右側面と背面。私はこのPCの配置がディスプレイの右側だったため、USB端子へのアクセスがちょっと面倒。もし左側に置ける方はその方が幸せになれる。今後使用頻度の高そうなUSB-C端子が背面なのも残念ポイント。本体軽いんだから抜き差しするときに動かせばいいんですけどね。
背面には便利はMicroSDカード端子もついているけれども、この配置だとドライブがあること自体忘れてしまいそう・・・もったいない。


まとめ

HiMeLE製Overclock4Cは超静音普段使いミニPCとして期待通りであった。
CPUにはN100より下位のN95採用ではあったがメモリの拡張性、緊急冷却用のファン付き、と考えると私にとってはこちらの方が使い勝手が良かった。
USB端子類の配置はいまいちだが頻繁に抜き差ししないのであれば気にならない。
値段も3万円以下なので気軽に常時電源を入れて使うPCとしては大満足。
何気にWindows11Pro搭載なので標準RDPでリモートアクセス可能な端末である。後々メインで使用しなくなっても常時どう稼働させるサーバーとして流用するには十分なスペックだと思われる。


以上製品レビューでした。誰かのお役に立てれば幸いです。もしこの記事を気に入っていただけたら是非"スキ"ボタンよろしくお願いいたします。
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今後この製品を使用していて新たな感想など追記する可能性があります。





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ミズネコ
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