プロ野球珍プレー好プレー大賞、昔の映像多すぎじゃね?を検証してみる
はじめに
全国1億2000万人の「珍プレー好プレー大賞に『出すな』とは言わないけど大谷とMLBが多すぎる。3時間SPの時間を埋めるために何十年も前の映像出したりするより、今年のプロ野球(NPB)に絞ったやつが見たいんだけどさぁ、だったら2時間スペシャル(以下、SP)で良いでしょ」と思ってるみなさん、こんにちは。
印象論で「昔の多すぎじゃね?」と語ってもしょうがないので、ちょうど手元には2017年~2024年までの8回分の録画データがあり、これを元にしてどれくらい何十年も前の過去映像を使っているのか調べてみました。
要は登場回数ランキングみたいなもんです。ついでに球団ごとのランキングも出せたらなと思います。(最も取り上げられていない地味な球団はいったいどこだ)
放送時間帯のおさらい
3時間SPは長すぎじゃね?と思いつつ実際の放送時間はどうだったのか、Wikipediaのほうから情報を拝借して振り返って見たいと思います。
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\begin{array}{|c|c|c|c|c|} \hline
日付 & 曜日 & 放送時間 & 時間 & 備考 \\ \hline
2017年11月26日 & 日曜日 & 19:00 - 21:54 & 3時間SP& 35周年 \\ \hline
2018年12月08日 & 土曜日 & 21:00 - 23:10 & 2時間SP \\ \hline
2019年12月01日 & 日曜日 & 19:00 - 21:54 & 3時間SP& 令和初回 \\ \hline
2020年12月13日 & 日曜日 & 20:00 - 21:54 & 2時間SP \\ \hline
2021年12月12日 & 日曜日 & 20:00 - 21:54 & 2時間SP \\ \hline
2022年12月11日 & 日曜日 & 19:00 - 21:54 & 3時間SP& 40周年 \\ \hline
2023年12月07日 & 木曜日 & 19:00 - 21:54 & 3時間SP \\ \hline
2024年12月05日 & 木曜日 & 19:00 - 21:54 & 3時間SP \\ \hline
\end{array}
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放送開始から35周年や40周年の節目のタイミングだったり、元号が令和に変わったタイミングで「ちょうどいい機会だから過去の映像も見てもらおう、だから3時間SPにしよう」は、まだ理解できると思うんですよ。
ただ最近はこれといって何にもないのに、3時間SPという前提が先に決まっていて、中身はあとからついてきてるのでは感が。テレビ局としてどうやら1時間番組を3本作るよりも3時間番組を1本の方が安上がりらしいので。
日曜日の放送が中心だったのが直近の2回が木曜日になっていることからも、色々とテレビ局側の事情を想像することが出来ます。
フジテレビの各曜日のレギュラー番組で一番弱い(=視聴率が取れない)、もしくはレギュラー放送を潰しても影響が小さい曜日が木曜日、ということなんじゃないかなと思います。珍プレー好プレーには多少なりとも固定客が居るわけなので、そっちのほうが期待できると。
あと、番組タイトルに「プロ野球」と付いているのにMLBを取り上げるのも、MLBに対して毎年莫大な映像使用料(スポーツニュースとかで使うから)を払っているので、それを少しでも放送で使いたい意向(払ってるのに使わないのは損じゃん的な)があるんではないかと。
まぁテレビ局事情の話はこれくらいにして、番組内容を振り返りたいと思います。
各年のお品書き
これは画像で見たほうがわかりやすいので、まずは見てください。
はい、というわけで8年分を振り返ってみましたが、大谷でコーナー化してるのは「2017年、2021年、2022年、2023年、2024年」の5年分、2021年以降からは毎年やってます。
この感じだと引退するまで大谷特集は毎年やるだろうし(怪我とかで長期離脱でもしない限り)、引退してからも新庄パターンで定期的にやりそうな気もします。ただ、新庄パターンの場合は、日本ハムの監督に就任したことにより再注目を浴びた形になると思うので、大谷が指導者にならない限り(=新作が生まれない限り)は可能性は低いのかなとも考えられます。
あと気になった点としては、特定の球団のコーナーが有る年(2017年:DeNA、2019年:巨人、2023年:阪神、2024年は甲子園なので阪神寄り)と無い年があり、これも不公平じゃないのかなと思います。一部のファンが「◯◯のときは日本一(リーグ優勝)したら特集があるのに、うちの球団が日本一になっても無いのはなぜ?」と感じてしまうのも不思議ではなく、「毎年、日本一になった球団は特集しますよ」というルールで行くのか、「球団特集は一切しない」のか、どっちかに方針を決めるべきかと。
集計方針
実際に集計結果の話に移りますが、好プレーやMLB関係(日本人選手であっても)は集計対象外となり、基本的にNPBの珍プレーがメインです。
「これはどこの球団の選手の珍プレーか?」という判断もプレー内容によっては判断が難しいです。例えば死球1つとっても、単にバッター側が痛がってる終わる場合もあれば、バッター側がキレてピッチャー側も上等じゃねーかと挑発に乗ることもあり、そういうのは基本的に映像内で選手名が紹介されたらカウントするような方針です(1プレーで複数人、複数球団のカウントは有り)。
また、明らかに珍プレー紹介の前振りとして普通のプレーが紹介しても集計対象外としています。「普通のプロ初ヒットの祝福」はこんな感じなんだけど、「珍プレーなプロ初ヒットの祝福はなこんな風になっちゃった」の場合に、普通のパターンは珍プレー扱いじゃないよね、みたいな判断をしています。
それから、有名人が始球式に登場して何かしらのパフォーマンスをするパターンは一部集計対象外としています。だいたい主催球団のユニフォームを着ていることが多いですが、これは珍プレーとカウントするけど特定の球団のカウントには含めない感じです。
WBCについても集計対象外です。出てるのはNPBの選手が中心ですけどね。
新作本数の推移
この記事で使用している「新作」とは、その年の番組で取り上げたその年起きた珍プレーを指しています。「2018年に起きた珍プレーを2018年に放送」、「2024年に起きた珍プレーを2024年に放送」のような場合が新作に該当にします。
で、これが新作本数についてまとめた表になるのですが、基本的に新作の本数は2時間SPだろうが3時間SPだろうが、どの年も「70~80本」前後に落ち着いてることがわかります。今のプロ野球の年間試合開催数からすると珍プレー数はそのあたりに収束するんでしょう、たぶん。
2018年、2020年、2021年
この中で2時間SPなのは2018年と2020年と2021年の3回のみ(ほかは3時間SP)ですが、2018年と2021年は結果的に新作割合が高い結果となりました。つまりは新作を重視する場合は2時間SPくらいがちょうど良いのだと思います。一方で2020年はコロナ禍でペナントレース短縮(143試合→120試合)だったり、無観客試合や観客人数上限があったり、盛り上がりや緊張感に欠け新しい珍プレーが生まれにくい状況でもあったのかなと思います。
2017年
2017年は3時間SPですがOB選手を何人も呼んでトークしたり、賞金をかけた的あてゲームがあったりといった企画が多く、その分紹介するプレー数は3時間SPにしては少なかったのかと思います。
2019年、2022年
2019年と2022年はそれぞれ「令和初回」と「40周年」を意識した作りとなっており、過去の珍プレーを意図的に多く取り上げる構成のため、新作本数の割合がほかと比べて極端に低かったのでしょう。
2023年、2024年
最近の2023年と2024年については、ぱっと見で新作の割合がそこそこ高そうに見えますが、MLBや大谷の特集は今回の集計対象外となっているため(母数にカウントされてない)、番組全体で見たときにその集計対象外の特集が多かったのかと思われます。2023年なんて大谷特集を前半と後半の2分割でやってるくらいだし。
登場回数上位
ここから本題の「昔の映像多すぎじゃね?」を検証してみます。
多い順に紹介します。
登場回数:6回
言わずと知れた、例のヘディング。
2018年、2019年、2020年、2022年、2023年、2024年に登場。
このプレーのややこしいところは、プレー自体が起きたのは1981年なのですが、番組で初めて取り上げたのが1983年だったので、たまに1983年扱いになってたりします。
登場回数:4回
現代では珍しい乱闘のシーン。
2017年、2019年、2022年、2023年に登場。
こちらもコリジョンルールにより、現代では見なくなったキャッチャーへのタックルシーン。
2019年、2020年、2022年、2023年に登場。
このプレーだけでもかなりインパクトがあると思います。
ただしこれのメインは、選手が倒れたまま起き上がれなくなり、ドクターが登場するのですが、どう見ても「この人が診ても大丈夫なの?」と思っちゃうくらいベテラン(マイルドな表現)の先生が出てくることだと思います。
野球の知識がなくてもわかりやすいネタなので、登場回数が多くなったと考えられます。
登場回数:3回
最低限の補足説明はしますが、数が多いのであとは画像からプレー内容を読み取ってください。
ここまでのまとめ
傾向としては再放送として使った昔のプレー映像は、一度使い出すと定期に使い回す傾向があると思います。もちろんそのプレー自体が何度見ても面白いのは大前提にはなるのですが、素材を探す手間を楽したいのか、映像の権利処理(許可取り)の手間が楽なのかは知りませんが。来年以降もこれらの映像が流れると「ほらね?でしょ?」って言えるし、流れなかったら流れなかったらで「スタッフがこの記事読んでチョイス変えてきたんでしょ?」と言えるある意味最強の論法
まぁ近年のプロ野球は怪我防止のために接触プレーが減ったり、乱闘そのものが起きることも滅多に無いので、「タックルされて弾かれる」とか、「死球から始まる乱闘」を見せたいのであれば過去の映像に頼るしか無いのも理解は出来ます。
それから「あのプレーって入ってないの?」と思った人がいるかも知れません。自分の中でも「下柳のグラブ投げ」や「達川のコンタクトレンズ紛失騒動」、「達川の死球演技」って3回以上出てないの?とは思いましたが、今回の集計範囲では3回未満でした。達川に関しては、コンタクトレンズを地面に落としたのは2度あり、「この試合のこのプレー」という集計方法だとバラけてしまったのだと思います。死球演技についても同様で、痛がってるふりも1度だけじゃなく、いろんな試合でやってるみたいなんですよね。
新作を考察してみようのコーナー
球団別の内訳
2017年~2024年の8年間で新作の珍プレーを球団別に集計するとこのようになりました。こうやって見るとセ・リーグのほうが多いんだなというのと、ロッテ楽天西武はもっと頑張れという気持ちになりました。
年別にもっと詳細に分けてみるとこのような感じになりました。2020年は新作の母数が少ないとはいえDeNAは0なんですね、ほんとかな。
特集が組まれてる(2017年:DeNA、2019年:巨人、2023年:阪神)と増える傾向にはあると思います。
日本ハムについては、2022年以降は新庄監督就任の影響なんだなとわかりやすいですが、では2018年に突然増えていてる理由を調べてみると、どうやら清宮入団の影響が大きいようです。
個人ランキング
こちらも同様に、2017年~2024年の8年間で新作の珍プレーに出てきた人を多い順にまとめてみました。
完全に主観にはなりますが、以下のように分類できるかと思います。(各球団のファンからクレームが来るかもしれないので、各々で該当選手は予想してください)
・パフォーマンスが上手い系
・打力優先で起用されているので守備が下手系(=エラーが多い)
・入団時から注目が高くて、ちょっとしたことでも取り上げてもらえる系
・捕手というポジション柄、ボールが体に当たって悶絶が多い系
・ずっとレギュラーだったので、そもそもプレーの母数が多い系
出場試合数が多い野手(野鳥?)がほとんどの中、投手である千賀と佐々木朗希がこのランキングに入ってきています。千賀についてはどちらかというと、「グラウンドを歩いてたらスプリンクラーの暴発(急に水が噴射)が起きた」や「ベンチに座ってたらファールボールが飛んできた」のような、ハプニングに巻き込まれ系があったので、これらの影響かと思われます。佐々木朗希については外国人選手とじゃれあってる系が複数入っていました(外国人選手と仲良い系の選手ならよくやってそうなこととか書かない)。
次回以降の放送を考える
この記事のネタを思いついたのは11月下旬でしたが、年末になって何とは書きませんが大きなニュースが入りましたよね。9000万円。
おそらく、今回までのような形での放送は二度と出来なくなるんじゃと思います。じゃあ番組自体が無くなるかというとそういう可能性は低い気がします。ただでさえフジテレビは日本シリーズの真裏でワールドシリーズの再放送をやったりしてNPBの機嫌を損ねているので、ご機嫌取りとして番組は継続すると思います。
では番組タイトルはどうなるの?と考えると、シンプルな「プロ野球珍プレー好プレー大賞」だとちょっと番組表などで見たときの印象が弱いので、誰かしらの冠がつくと予想します。
順当に行けばMC横に長年居た、「アンタッチャブルの」になりそうな気もしますが、アンタッチャブルにそこまで野球のイメージが強くないので別案になるかなと個人的に思います。
フジテレビ的には「千鳥」を推しているので、ここに千鳥に入れてきそうだなと思います。「相席食堂」や「テレビ千鳥」で不定期に野球企画をやったりしてるので、野球好きのイメージはあるほうかと。
実際に、今年の放送に1コーナーのみとは言え、千鳥が出てきたのも伏線の可能性があります(もちろんただの偶然も有り得る)。
じゃ「千鳥の」になるかというとそう単純でもなく、アンタッチャブルを差し置いて千鳥が冠になると番組を乗っ取ったような形に見えるので、「アンタ・千鳥の」両冠パターンが落とし所なんじゃないかな、というのが筆者の出した結論となります。
さて、どうなる珍プレー好プレー大賞の未来は。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。