人生における ”寄り道”
生きていくうえで困難や絶望に立ち会う時、人は何を感じるのか?
映画『パリタクシー(une bell course)』
長く生きていれば必ず大なり小なりの困難や壁に出会う
運転手シャルルは、まさに人生の危機を迎えていた
そんな時に、マダム”マドレーヌ”からパリを横断して
目的地に送るという依頼を受ける
「ねぇ、寄り道してくれない?」
という彼女のお願いから、マドレーヌがどんな秘密を持ち
辛い過去を背負ってきたか?と言うことを知る
運転手シャルルは常に苛立ち怒りを多方面にぶつけ
笑顔すら忘れているが、マドレーヌを送る寄り道で
笑い、驚き、表情がどんどん変わっていく
自分が最悪だと思っている以上に辛い経験を乗り越え
それでも気丈に、笑顔で、立ち振る舞うマドレーヌ
そして二人を取りまくパリの美しい街並み
人と人との出逢いを深く考えさせられ
この映画を見終わって得た、深く長い余韻
間違いなく自分映画史の中でもトップクラスな作品
最期に彼女が残した
あなたは醜いアヒルの子のままで良い、
旅をしなさい、大切な家族とどこか遠くへ旅立ちなさい
カメラを忘れないで、
思い出をたくさん作ってきてね
という言葉が忘れられません
それは人生で最期に旅立つ時
唯一持っていけるものなのでしょう・・・