【 デジタルバレンタイン 】#毎週ショートショートnote
私には、好きな人がいる。
ただ、ヒトではない。高機能アンドロイドだ。
ヒトに失恋をした日、添い寝をお願いした。
とても優しく髪をなでてくれた。
その後も、何回か家事をお願いした。完璧だった。
ある日、そのアンドロイドは、母星に戻る事になった。
母星はアンドロイドしかいない、地球の小さい植民星。
もう、会えないかもしれない。
それでも私は、そのアンドロイドに思いを伝えようと思った。
そのアンドロイドは、あるメタバース内にいる事が話していて分かった。
私は、そのメタバースに潜ってみた。
確かにいた。そのままだったので、すぐに分かった。
そばに行き、小さい声で自分の名前を言ってみた。
目の前のアンドロイドは、驚いたように見えた。
すぐに「推理が好き」と、色々と謎解きを教えてくれた。
現実の時よりも実は、おしゃべりだった。
ますます、好きになった。
2月14日、私は以前から準備をしていた手の平に載る小さいプレゼントを渡した。
「君、僕には簡単。すぐ解ける」
アンドロイドの手の平の上で、そのプレゼントはどんどん解体されていく。
あっという間に数値になりプログラミングされ、
あっという間に虹色のハートが手の平から飛んでいく。
「これは、君の心。僕、受け取った」
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