【 ルールを知らないオーナメント ① 】#毎週ショートショートnote
「は~い、皆さん。一等地の新築の家から注文が入りました」
やって来た家は、広い庭に大きなヒマラヤスギ。
「今年こそは、私が一番ですわ。もともと私の場所ですもの」
「今年も、スター姫には負けないぜ。俺が一番だぜ」
「皆さん、30分以内に飾り付けを終えてください。家主様が戻ってきますので。それでは、スタート」
「今年は、誰が私を一番上まで運んでくださるのかしら」
「まずは汽車の私にお乗りください。途中まで幹を登りますので」
姫はそっと汽車の背中に乗り込んだ。
手と足が出た球体達は、それぞれの手と足を繋ぎハシゴのように上に伸び始めた。
「一年間、作戦を練ったんだぜ。これで俺らが、上の方を占領だぜ」
「何を言っている。僕にはプロペラがある」
「何、言ってんの。まず燃料の水を外水道まで取りに行かないとダメじゃないの」
「そうでした。雪だるまのバケツさん、お願いします」
「分かったよ。毎年の事だ。その代わり、今年こそ姫を一番上に載せてやれ」
それから姫は、途中から上に伸びていく電飾に乗り換えた。その後も、色々なオーナメント達が姫を上へ上へと連れて行った。
「はい、時間です。皆さん、紐を出してその場所でぶら下がってください」
勝敗の行方は・・・。
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