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【 台にアニバーサリー 】#毎週ショートショートnote
「父、この台はいつからこの広場にあるの?」
「そうだな、日本人がこの星に移住してきた時だから、丁度、1000年前だね。1000年間、沢山の人々が話し掛けたり祈ったり、この台にはお世話になったんだよ」
「どうして?」
「旧地球での室町時代、使い古した道具達は、100年目で付喪神になったんだよ。父の先祖の郷土研究者が、この小さい台にも神がきっと宿るはずと始めた実験なんだよ」
「楽しみだね、この台が動いて話すの」
と、はしゃいでいる娘を肩車しながら、俺の家にある膨大な資料を思い出していた。
俺の家系は、代々、この台の管理をしている。
この星に移住してから100年後の記念日、台は動かなかった。
次の400年間は、奉った。皆、今度こそはと期待した。
500年目の記念日、台はまた動かなかった。
皆は失望したが、俺の先祖は諦めなかった。
そして、今年、この台がこの星に来て1000年目だ。今度こそは。
(370文字)
(使用しているイラストは、イラストボックス様よりお借りいたしました)