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130万円の壁 披扶養者であり続ける

前回、超久しぶりに投稿しました。
お読みいただき、感謝いたします。

今回は130万円の壁についてです。

130万円とは、社会保険で扶養家族となるための年収上限額です。

ここで言う社会保険とは、健康保険、介護保険、厚生年金保険のことです。

細かいルールはありますが、ざっくり言うと、年収130万円以上だと、妻は夫が勤める会社や役所の健康保険の扶養家族(披扶養者と言います)になれません。
(妻・夫という表現は、本人とその配偶者と言う関係をシンプルに言うために使っています。夫・妻、男女が反対でも同じです。)

健康保険の披扶養者は、健康保険保険料を納める必要がないばかりか、原則介護保険料も納付不要、さらに健康保険の披扶養者=国民年金第3号披保険者なので、厚生年金保険料も払わなくて大丈夫です。


逆に言えば、年収130万円以上の妻はこの3つの保険料を全て給料天引きで払う必要があります。

この新たに発生する保険料以上稼がないと、逆に手取り額が減ってしまう逆転現象、働き損となってしまいます。

このため、年収130万円はパートの妻にとって越えられない高い壁となってしまうのです。

保険料はいくらでしょうか?

モデルとして土日祝休、9時から15時まで、昼休み1時間、たまに残業あり、時給1000円で年収130万円、毎月なら108333円の場合。

その人の通勤費にもよりますが、標準報酬月額は110000円に格付けされるとしましょう。

標準報酬月額とは、その人の1か月分の給料と通勤費合計額の平均値を、国がさだめている区分により格付けするもので、上記社会保険の保険料計算の際に使います。

標準報酬月額×保険料率が保険料です。

保険料率は、3つ合わせて15%くらいです。
内訳は以下のとおり。
健康保険:約5% 介護保険:1%  厚生年金保険:9.15%
(健康・介護は加入する健康保険により異なります。)

保険料は月額で110000円×15%   約16500円
年間約20万円です。

つまり、年収が130万円から150万円までのレンジにいるなら、129万円で止めておいた方が、手取り額では多くなるのです。

年間で20万円を余計に稼ぐためには、日々45分ほどこれまでより長く働く必要があります。
15時までだったパートさんは、15時45分まで。
低学年のお子さんがいるお母さんは、少し厳しくなってくる時間でしょうか。

以上が130万円の壁、健康保険の披扶養者であり続けるパートの方々が数多くいらっしゃっることについての解説です。

次回は、この状況を更に複雑にしているパートタイマーの方々の社会保険加入要件、月88000円について解説したいと思います。




ちなみに、以下補足です。

それでも厚生年金は保険料を払うほうが、将来受け取れる年金額が増えるので、メリットがありますが、健康保険・介護保険は、披扶養者として実質的には保険料を払っていなくても、保険としてのメリットに差はほとんどありません。

病院に行けば、保険料を払っている人も、披扶養者なので払ってない人も、同じ3割自己負担です。

唯一違いがあるとしたら、、健康保険には保険料を払っている本人(披保険者といいます)だけが受けられる「傷病手当金」という制度があります。

病気やケガで長期間休んで、給料がストップしたら、健康保険から休業補償のお金が出るありがたい制度ですが、披扶養者はこのメリットんを受けることができません。

(私は以前この制度の支払い手続き業務を担当したことがありますが、申請されるような病気になる方はまれでした。みなさん、やっぱりそれなりに健康なのです・・)


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