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103万円の壁 その正体

ほんとに久しぶりの投稿です。。

パートで働く主婦の方々にとってはおなじみ、「103万円の壁」について。

年収103万円を越えると、妻本人の給料に所得税が掛かったり、夫が所得控除を受けられず、所得税が多く掛かったり・・・
働き損をさけるため、あえて年収103万円以内になるよう働き方を調整する・・・

女性の社会進出を阻害しているなどなど、議論も多い制度です。

でも、本当に壁となっているのは、所得税ではありません。

真の壁の正体は、夫の給料で支給される配偶者の扶養手当です。
家族手当、配偶者手当、夫のお勤め先によって、名称は様々ですが、
労働の対価とは別に、扶養している配偶者がいる場合に支給される手当のことです。

支給基準は、夫が勤める会社や役所ごとに様々ですが、妻の年収が103万円以内なら手当が出るパターンが最も一般的かと思います。

理由は、所得税上では年収103万円以内の家族を、扶養家族として認定しているため、単にそのルールを流用しているのだと思います。

妻の年収が103万円以内なら、夫の毎月の給料に手当が加算される。1円でも超過すれば支給されない。

ネットで調べると、配偶者の扶養手当の金額は、平均1万円でした。
年間12万円。
時給1000円のパートなら120時間分の労働です。

土日祝休、9時から13時まで1日4時間、たまに残業あり、時給1000円で年収103万円くらいです。
103万円を1円でも越えたら、夫の給料から12万円が無くなります。

妻が12万円余計に稼ぐには、日々13時30分ごろまで働かなくては、働き損となってしまいます。
こう考えると、103万円は高い壁です。

けれども、所得税だけの損得なら、103万円は高い壁ではありません。
例えば年収104万円の人の所得税額は、年間500円ほどです。
時給1000円なら、30分の残業1回でペイします。

所得税は、収入(正しくは所得)に対して、100%未満の税率を掛けて計算するので、稼げば稼ぐほど手取り額が減るような現象は、この103万円越え以外のところでは、理論上決して起こりません。
働き損ではないのです。

夫の給料の配偶者控除はどうでしょう?

配偶者控除とは、妻の年収が103万円以内なら、夫の所得税を計算するときに、夫の所得から38万円をマイナスして、税金額を計算する制度です。

妻の年収が103万円を超えると、夫の所得税が高くなってしまうように見えますが、実際は違います。

配偶者特別控除というへんてこな制度により、妻の年収150万円まで、夫は38万円の控除を受け続けられるのです。

ということは、所得税上103万円の壁はほぼ存在しないことになります。

せいぜい「103万円の敷居」程度。
夫の給料に扶養手当がない人や、あってもその基準が103万円のルールではない家庭は、越えてもほぼ問題なし。

にも拘わらず、夫の扶養なので、ただ漠然と103万円を越えてはいけないと、調整しているパートの方がいらっしゃるように見えるのですが・・・

ちなみに、この文章の夫・妻はわかりやすくするためにこう表現しましたが、反対でも同じです。
給料体系や税制に男女の違いはありません。

次回は、130万円の壁について書こうと思います。
この壁は本当に壁です。

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