【インタビューコラム】インドカレーに気持ちを重ねて
舞さんは、二人のお子さんを育てるお母さん。言葉を選びながら語る姿からは、思慮深い優しさが感じられます。
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私の好きな食べ物は、カレーです。特に好きなのはインドカレー。お店で食べるインドカレーが好き。何かあると食べたくなります。
例えば、家族全員の気持ちが盛り上がった瞬間とか、タイミングと空気が合うと、カレー屋さんに行って、インドカレーを食べます。
カレーって、みんなが好きな食べ物で、嫌いな人があまりいないと思うんです。私の家族も、おばあちゃんから、お母さん、私まで、みんな好きなので、「カレー食べたいな」って気持ちが重なったときに、三世代みんなで行けるところがいいな。
おばあちゃんとは同じ市内に住んでいるので、タイミングが合うと集まって食べに行く。会うための口実っていうんですかね。「今日カレー食べに行こうよ」って誘ったりして。
たぶん、おばあちゃんが好きなんですね。一緒にカレーを食べて嬉しいって記憶が、カレーに宿ってる。
おばあちゃん、普通のカレーは作っても、インドカレーを作ることはないので、誘うと喜んでくれて。実際に食べて「美味しい」って言ってくれる顔を見るのが嬉しくて。そういう良い思い出があるので、カレーが好きなのかな、味よりも。
私は両親が共働きで、おばあちゃんにお世話になっていて、第二の母みたいなところがあるんですね。夜ごはんとか、習い事の送り迎えとか、一緒に遊んだり、お出掛けしたり、そういうのも全部おばあちゃんがやってくれた。
なんか、会いたくなってきちゃいました。
お世話になったおばあちゃんに孝行ってあまりできていないんですけど、カレーに誘って嬉しい顔が見られると、「誘ってよかったな。おばあちゃん孝行できたのかな」って、気持ちになるのかな。
今80歳で、最近は食が細くなって心配もあるんですけど、カレーはモリモリ。みんなそれぞれお気に入りの味があって、それぞれ頼んで、いろんな味を交換しながら、「こっちの味もおいしいね」とか言いながら食べるのが、また楽しいです。
おばあちゃんは茨城で、私は今、岐阜。コロナもあって、なかなか会いに行けないんですけど……。一緒にまた、カレー食べたいですね。
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家族三世代で重ねる「カレー食べたい」の気持ち。その意味するところを垣間見た気がした。
「いつまでも元気でね」
インドカレーに重ねてきた家族の気持ちは、過去から現在、未来へと続く。こんどは四世代で一緒に、いってらっしゃい。
※ これは、2022年1月にオンラインで10分間のインタビューを実施し、まとめたものです。「好きな食べ物」を入口に、静かにご自身の内面を見つめてお話くださいました。舞さん、どうもありがとう。
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