【掌編小説】クリスマスイブに
クリスマスイブの夕方のデパ地下は多くの買い物客で大賑わいだ。美奈子はあらかじめ目星を付けておいたお店で手早く買い物をする。ローストチキンと前菜の盛り合わせ、それにケーキを二個と赤ワインを買った。それから上の階の書店に行き、夫の好きなアーティストの新しいアルバムを買いラッピングしてもらった。
あとは家に帰り、下ごしらえしていた材料でサラダとスープを作ればクリスマスらしいメニューが出来上がる。美奈子はクリスマスのイルミネーションを横目に家路を急ぐ。
イルミネーションか。夫と見に行った事ってあったっけ?あの人、あまりこういうのに関心を示さないのよね。そういうの、つまらない。昔、イルミネーションを一緒に見に行ったあの人、どうしているかな、元気かな・・・
古い曲を聴きながら、美奈子は昔の恋人の事を思い出していた。
イルミネーションのせいで少し道路は渋滞気味だが、その分きれいな街並みを堪能できるのでこの時期の渋滞は美奈子は全く苦にならない。
家に着くと冷蔵庫にケーキをしまい、手早く料理を作る。買ってきた料理は取っておきの皿に盛りつけた。
8時を過ぎてもまだ夫は帰らない。お腹の空いてきた美奈子はチョコを一粒口に入れて夫を待っている。9時になっても帰って来なかったら先に食べようと思っていたら、やっと夫が帰ってきた。
「おかえり」
「ただいま。ちょっとトラブルがあって遅くなった」
「疲れたでしょ?クリスマス仕様のご飯にしたから早く食べよう」
部屋着に着替えた夫はテーブルを見て驚いた顔をしている。
「すごいな、これ。こんなの何年振りだろう」
「でしょ?仕事帰りにデパートに寄ってきちゃった。ワイン飲むでしょ」
夫のグラスと自分のグラスにワインを注ぎ、グラスを夫に手渡した。
「乾杯」
カチンとグラスを合わせ、ワインをごくんと飲み込んだ。
久しぶりのクリスマスらしい食事を取り、今夜の二人はどことなくよく喋った。ワインも美味しく、いくらでも飲めてしまいそうだ。
「あ、そうそう。これあげる」
美奈子はプレゼントを差し出した。
「ありがとう、美奈子。俺からもこれ」
夫も美奈子に小さな包みを渡した。
「え、私に?ありがとう。ね、開けていい?」
「もちろん。俺も開けてみるね」
二人はそれぞれのプレゼントを開けてみる。
「このアルバム欲しかったんだよ!ありがとう。明日これ聴きながら会社に行くよ」
美奈子へのプレゼントはガーネットのシンプルなアメリカンピアスだった。18金のチェーンがキラキラと輝いている。
「これ誕生石!とてもきれいね。ありがとう」
食事が終わりケーキを食べながら、美奈子はこれまでとこれからの事を考える。考えてみるも、これがささやかな幸せという事なのだろう。これ以上を望むのはいけない事なのかもしれない。
テレビの歌番組から若いアイドルグループが美奈子が大好きなバラードを歌っているのが聞こえてくる。美奈子は思わずテレビに視線を向けた。
このまま私は老いていく、それを思うとなぜか心のどこかがキュッとする。その正体がなんなのか美奈子は分からないでいた。「その正体を知らない方が幸せなのかもしれない」と耳元で声が聞こえたような気がした。
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🎄Merry Christmas🎄
今日はクリスマスイブですね。
みなさんは、予定があったりご馳走を食べたりするのかしら。
うちは、何もありません。
今年はケーキすらもなさそうです。
後でコンビニで小さいケーキを2個買ってこようかな笑
さて、この掌編小説は先日のシロクマ文芸部のお題で書いたものの続きです。
この時はクリスマス前のお話でしたが、今回はクリスマスイブのお話です。
夫と美奈子はクリスマスの食事を楽しみ、お互い思いがけないプレゼントをもらいました。でも、美奈子の心は何かスッキリしないみたいですね。
幸せって何なんでしょうか。
昨日、久々に有料記事を書いてみました。
やっぱり有料記事って読まれないですね💦
生々しい出来事を書いたエッセイではありますが、そんないやらしい話ではありません。
クリスマスイブの前日に私が体験したトホホな話です。
ちゃんと最後はオチもつけました!
ある意味、私の原点のような話です。
宣伝くさいですが、良ければお読み頂けましたら😊
自画自賛の出来でございます!(オイッw)
今日も最後まで読んで下さってありがとうございます♪