高次脳機能障害21
母と兄の住む実家へ行ってきた。
今日はクラクラする程の暑さだった。
こんな日でも兄はエアコンはいらないと
言う。
母と私は暑くてたまらず、ゆるくエアコンをつけたが、兄は昼食を済ませると、そそくさと自分の部屋へ行ってしまった。
エアコンも扇風機も付けずにテレビを見ていた。
母は熱中症になるんじゃないかと騒いでいた。
しばらくすると、爪を切って欲しいと兄がやって来た。
時々、こうやって切って欲しいと訴えてくるので、手も足も切ってあげる。
兄の爪を切ってあげるなんて想像したこともなかった。
主人の爪だって切ってあげたことがない。
人の爪を切るのは難しい。不器用な私にはとても難しい。
今日も一度だけ、痛かったようで手を引かれてしまった。
冬の間はマヒしている右手も右足も氷のように冷たかったが、暑くなってからは手は温かい。
今日は足は少し冷たく感じた。
右手の指はなかなか真っ直ぐにならない。
毎日リハビリを続けているが、なかなか
思うようには動かない。
あんなに仕事、仕事の毎日だった人が、
リハビリのない日は何もすることがなく、テレビを見てるだけの生活をしている。
気にしていた免許の更新のことも、
バイクのことも、娘のことも、
全く言わなくなってしまった。
もし、自分だったら。
何度も考えてみた。
ある日突然、みんなの言ってることがわからなくなって、喋ることも読むことも書くことさえできなくなる。
右手も使えない。
思い出せないこともある。
私だったら、、、
noteを始めて兄と同じ全失語の方、
マヒがある方、嚥下が困難になった方、
それぞれ大変な方と出会って、それぞれが回復していく姿を拝見して、本当に
みなさん凄いと思っている。
兄は兄の人生で起きたこの出来事を
受け止め、消化してはまた落ち込み、
悩み、消化して、そうやって生きていくんだろう。
いつか、兄のような全失語の人が、
頭に描いていることを読み取って
言語化するとか映像化するとか、
そういう未来がくればいいな。
そんな事ができる時代には、脳の損傷も
パパッと治せるようになっているかな。