高次脳機能障害27
兄は昨年の6月に心原性脳梗塞を起こし、
全失語、右片マヒ、高次脳機能障害という後遺症がある。
離婚して1人で暮らしていたので、現在は
我が家から歩いて10分ぐらいの高齢の母の住む実家で2人で住んでいる。
今日の朝突然
「今日、お兄さん家にいらっしゃいますか?」
とLINEが来た。
兄がリハビリ病院を退院後、話せないのに自分で電話をかけたことがある、仕事関係で知り合ったという方だった。
その方は多分40代前半くらいかなと思う
女性の方。兵庫県に住んでいる。
私は何度かLINEで連絡を取り、兄の様子を伝えたり、励ましてもらったりしていた。
普段兄からは聞くことのなかった、兄の心の内を聞かせてもらうこともできた。
そんなMさんが急に訪ねて来ることになった!
私は少し早めに仕事を終わらせて、駅まで迎えに行った。
兄と一緒に写っている写真を送ってくれたことがあって、まぁわかるだろうと改札の前で待っていた。
約束の時間が近づいて来た時、後ろから声をかけられた。
「miyumaさん?」
振り向くと、髪が何色っていうのだろう?銀色でもない、アッシュっていうのかな?そして目にもカラコンの女性が立っていた。写真とは全然違う人。
誰?と一瞬固まってしまったが、
「Mさん?」
と聞いたら
「はい!突然すみません」
少し驚いたがとても気さくな話しやすい方だった。
仕事で東京へ来たそうで、わざわざ
兄に会いに来てくださった。
兄にはMさんが来ることを紙に書いて
伝えておいてと母に頼んであった。
が、わかっていなかったようで、
家に着くとMさんを見て
「おぉ〜!」
と驚いていた。
少しだけ一緒に過ごし、積もる話を2人でどうぞと母と私は部屋を出た。
廊下の向こうの部屋から、兄とMさんの
笑い声が聞こえて来る。
そのうち、いつもリハビリの時に歌っているイエモンの曲が聴こえて来て、2人で熱唱していた笑
兄が京都にいる頃は、Mさん家族やその
周りの方たちと温泉へ行ったり、飲みに行ったり、お花見をしたり、カラオケに行ったりしていたそうだ。
兄の嬉しそうな顔。
笑い声。
歌声。
よかった。
毎日、ただリハビリと散歩とテレビの生活で、笑うことなんてほぼない生活に、
パッと花が咲いたようだった。
兄は友達や仕事仲間にはもう会えないと
諦めていたと思うので、本当にありがたいことだった。
Mさんが帰ったあと部屋に
「今度迎えに来るから家に来てね」
というメモが残っていた。
兄の脳梗塞発症前の生活は何ひとつ
わからなかったけど、いい友達に囲まれていたんだなぁと思えて私も嬉しかった。
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