高次脳機能障害23
先日、昨年6月に脳梗塞を起こし、右片マヒと全失語、高次脳機能障害の後遺症がある兄の通院日だった。
雨が今にも降り出しそうな日だった。
心不全が原因の脳梗塞だった兄は、ハートクリニックと脳神経外科の2箇所で診察してもらうので、駅の西口から東口に移動しなくてはならない。
傘をさして歩くのは大変かなと心配だったが、幸い移動する時は雨に降られず一安心。
ハートクリニックは予約なので、それ程時間がかからないが、脳神経外科はいつも物凄い混んでいる。
待ち時間はいつも1時間半ぐらい。
覚悟して行ったが、珍しく空いていた。
30分くらいで診察室に呼ばれた。
ハートクリニックの先生も脳外科の先生も、ちゃんと兄の目を見て、兄に話しかけてくれる。
以前の病院の先生は、私にばかり話しかけて、兄に話しかけてはくれなかった。
私はそれがとても嫌だった。
「どうですか?変わりないですか?」
と聞かれ、兄は
「うん」
と答えていた。
血圧を測り終えると先生が、コレできる?
と両手を顔の高さでクルクルと回した。
兄はすぐ真似をすることができた。
コレは?と影絵の鳩をやる時のように、
親指を絡めて他の指は広げた形を先生が作った。
兄は指が絡められず上手くできない。
先生は私を見て、
「コレはできないね」
と言ったが、次の瞬間兄は親指を絡めた形を
「ん〜」
とやって見せていた。
「あっ!ゆっくりならできるね」
「じゃコレは?」
と中指と薬指だけ折った形を先生がやると、
「うぅ〜、うぅ」
と声を出してエイッという感じで、両手で出来た!
マヒしてる右手でもできたので、先生も
とても驚いていて、
「回復してきてるね」
と言ってくださった!
嬉しかった!
通院の何日か前に、通院日はリハビリを休んだらどうかと相談した時、「14:00」と紙に書いて、時間があるので大丈夫だと伝えて来たので、その話もすると、先生もそれは凄いと言って驚いていた。
左脳の言語中枢の部分がほぼ全部ダメージを受けているので、失語症の回復は難しいかもしれないと言われているので、
家族としても、小さな事だけど、大きな一歩であり、とても嬉しい!
兄は努力をしている。
それが、少しでも、ひとつでもいい、形になればいいと思う。
諦める事なく頑張って欲しい。