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私のこと4
かなり前の話だけど、私は私立の学校で電話交換手をやっていた。
高校を卒業して、1年制の専門学校へ行き、今考えると不思議な、3種類の資格を取った順に卒業前に就職していくという謎のシステムで、私は1番乗りで11月に私立の学校に就職した。
この就職が決まる前に、他の子2人と某テレビ局の求人に応募していた。
めでたく3人とも採用された。
私は絶対無理だろうと思いながら、度胸試しに採用試験を受けたので、採用です!と言われても驚きばかりで、えっ?どうしよう、と狼狽えるばかりだった。
というのも、見学に行った電話交換室はものすごい人数で、ものすごい電話回線の数で、先輩方は怖く、お盆休みもお正月休みもない、夜勤ありの職場。
ちょっと考えればわかりそうなものだが、その頃の私は浅はかだった。
無理だ。
私には無理だ。
断ろう。
そう思っている時、この私立の学校の求人が貼り出された。
初任給も高額!夏休みが20日!!
家から電車で10分!
ここがいい!
一緒に採用された2人に断るつもりだと打ち明けたら、なんと2人も断るつもりだと言う。
担任、就職担当の事務の人に3人で言いに行った。
先生たちに、
「前代未聞だ!もう来年から求人が来なくなるぞ!」
と怒鳴られてしまった。
それでも私たちの決心は変わらず、それぞれ違う会社に就職することになった。
大人になって(その当時もまぁ大人だったけど)、本当に申し訳ないことをしたと、きっと先生たちは大変だっただろうなと猛省した。
私はこの私立学校の電話交換手として8年間働いた。
あのテレビ局の10分の1の回線数。
その当時でも、なかなか古いタイプの有紐の交換台。
電話回線の穴がたくさん開いている。ヘッドフォンをつけ、電話がかかってくるとランプが付きプラグを刺して話す。そしてつなぐ相手の内線の穴に対になってるもう1つのプラグを刺して、「○○様からお電話です」と繋ぐ。
レバーを手前に倒すとかかってきた相手と、向こう側に倒すと繋ぐ相手と話せる。
繋げたらレバーを真ん中にして、ランプが消えたらプラグを抜く。
今思い出したら、何だかワクワクしてしまった。
私は交換手の仕事が好きだった。
世の中がデジタル化されて、携帯が出始め(あの頃はPHSだったけど)、電話交換なんていうものも激減して、私たちの職場はなくなってしまった。
今でも病院やデパートや役所なんかにはあるのかな?
その後は事務の仕事に配置換えされて、
私はずっと入試の関係の仕事をしていた。
それはそれで楽しかったけど、嫌なことも沢山あって、派閥争いみたいなものもあったし、、、思い出すと本当にいろいろあった。
理由は沢山あったが、何十年か前のちょうど今頃、急にもういいかなと思って退職届けを出した。
交換手時代から12年、私はこの学校で働いた。
いい思い出。