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高次脳機能障害6

兄がリハビリ病院へ転院して1ヶ月。
1ヶ月に1回、主治医、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、ソーシャルワーカー、本人、家族という大人数での面談があった。
初めての面談。1ヶ月ぶりに会う兄。
兄は車椅子に乗せられて病室から会議室にやって来た。私は兄の左側に座らされた。やはり右側の空間無視があるらしい。

私の顔を見ると、
「おぉ!」
と挨拶。
顔色も良くなり、元気そうに見えた。
話しかけると頷く。回復してるんじゃないかな?と私には感じられたが、
リハビリの先生方からそれぞれ報告を受けると、あまり良い話しは聞けず、
かなりシビアな状況だという。
退院後、家に帰るのか、施設に入るのか決めて欲しいという。

母は高齢で、兄の面倒をみさせるのは酷なのかな。
でも、兄はまだ57歳。施設に入ったらこの先何年そこで暮らすのか。
私には主人との生活がある。

考えた。
考えて、本人が自分でトイレに行くことができるようになるなら実家に連れて帰ります、と答えた。
後から母にもそう話をして納得してもらった。

面談が終了した瞬間、なかなか本人に会える機会がないので、この時とばかりに私は、
「銀行のカードの暗証番号思い出せない?」
「スマホのパスコードは?」
「この支払いはどうなってるの?」
と矢継ぎ早に尋ねてみたけど、何も分からない様子だった。

兄がこういう状況になって初めて、
重要なことは家族の誰かに伝えておかないと大変なことになることを知った。
ましてや、今回は親でも子でもなく兄。
仲が悪いわけではないが(むしろ仲がいい兄妹だったと思う)、年に一度会うくらいで、東京と京都。
兄がこれまでどんな生活をして来たのか、何を考え生きて来たのかなんて
想像することしかできない。

また1ヶ月兄には会えない日々が続く。

私と主人はこの間に、兄の住んでいた京都へ行くことになる。

#脳梗塞 #高次脳機能障害 #リハビリ

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