結果より過程にフォーカス。ラーニングストーリーとは
今回も以前に書いたブログです。ニュージーランドの幼児教育では多く取り入れられているラーニングストーリーという記録法について書いています。
2020.11.29
ニュージーランドで1996年から幼児教育に「テファリキ」という教育方針が導入されました。
子どもの成長を記録する主な方法がラーニングストリーです。
日々の活動の中での、子どもの様子を書いています。
以下の3つの部分に分かれています。
Noticingー子どもの行動の様子を写真や文章で表す
Recognisingー分析。どんなことを学んでいるのか。指導者は何を発見したのか
Responding(What’s next)ー子どもの能力や興味を伸ばすために指導者に何ができるか。その子の可能性など(提案)
そして最後には、テファリキのどの到達目標が達成されているかを記録します。
親や先生、子ども自身もいつでも誰でも見られる
ポートフォリオと呼ばれる個人のファイルに絵や写真などと一緒に保存されています。
指導者はもとより子どもも保護者もいつでも見ることができます。
最近ではデジタルで共有され、いつでもアクセスすることができる幼稚園などもあります。
個人のプライバシーは守られていますが、指導者、保護者、子どもなど
当事者であれば誰でも簡単にアクセスできることを大切にしています。
NZでは子どもの成長は家庭と教育機関がともに担うものという認識がここによく表されています。
親たちが残す子どもの成長記録
幼稚園や保育所ではラーニングストーリを先生たちが書きます。
プレイセンターの場合は親と他の保護者が協力して書き合っています。
私は最初、これにとても苦労しました。
どんな行動がどんな学びにつながっているのかも曖昧でした。
英語でどう表現していいのかも分かりませんでした。
そこにテファリキとかを持ってこられた日には、お手上げといった感じでした。
それでも先輩メンバーの助けを借りながら、なんとか書いていました。
途中で英語を諦め、日本語で書いた時期もあります。
私が記録を残さないと、この子の今が残らないと焦っていたのです。
プレイセンターのワークショップやセンターの勉強会などで少しずつ知識をつけていきました。
今では我が子以外の子どもにも書けるようになりました。
失敗は成功への通過点
ラーニングストーリの素晴らしい点は、結果より過程に注目することができることです。
子どもが今どんな能力を持っていて、今日の1つの行動が、どんな学びなのかを大人がとらえていきます。
子どもたちは人に言われたことを上手にこなす必要もなく、誰かに合わせる必要もありません。
自分の好きなことを自分の好きな方法やタイミングで子ども自身が試していくのです。
色々なことを試して、その中で学んでいく姿をラーニングストーリーとして記録していくのです。
誰かの決めた標準ではなく、その子自身の成長や可能性に常に軸を置いているのです。
私はこの考え方がとても好きです。
思い出がつまったポートフォリオ。プレイセンターの卒業式
日本では、そういった成長記録のようなものは、先生方がつけて、事務所に置いてあるのでしょうか。
私自身が、保育所を卒業する時もらったものは、アルバムと卒業証書でした。
行事の写真と母のコメントが書いてあったのを思い出します。
プレイセンターの子ども達は、卒業の際に、ポートフォリオ(大きなフォルダ)をもらいます。
自分の親と、他の大人達の書いたラーニングストーリーや絵や工作、ポエムなど自分の作品が入っています。
NZの小学校は、入学時期が5歳の誕生日から6歳になるまでいつでも選ぶことができます。
卒業時期もみんなバラバラなので、センターを挙げて1人の為に卒業式をしてくれます。
プレイセンターの卒業式は本当に特別だなといつも思います。
もうすぐ下の娘の卒業です。
楽しみと寂しさの混じった気持ちで日々を過ごしています。
追記:下の子の卒業式はとても感動的で、素晴らしい思い出になりました。私の卒業式でもあり、感慨深い時間でした。