真谷優の大学留学記72「新年」
風邪がなんとか治り、日本行きの航空券を素早くとりその足で空港へと向かった。チェックインを素早く済ませ、ゲートへと向かう。今は現地時間で12月31日の昼前だ。日本に着く頃には新年になってるだろう。ゲートから機内へと乗り込み、離陸を待つのみだ。 今回は1週間ぐらい日本にいる予定だ。早く離陸しないか今から楽しみだ。30分ぐらいして離陸のアナウンスが流れた。それと同時に機体が動き出し地を離れた。次の空港まで15時間くらいあるので少し寝るとするか。
-----------------------------10時間後-----------------------------
ふわぁ……よく寝た。機窓を覗くとヨーロッパの国々が眼下に見えた。機長のアナウンスによるとあと5時間でアムステルダムに着くそうだ。
着くまでdiscordチェックしとこ。どんなものが流行ってるのかな?清巌の学年公式サーバーを開くと往時よりは少し減ったが未だに賑わっていた。
年末ということもあり紅白などの話題で賑わっていた。いいこと思いついた。
discordは文字を打ち込まなければ見ているかどうかは分からない。
ここでいきなり会話に参加したら驚くだろうなぁ。
『空の上からdiscord見てる』
しばらくすると『久しぶりだな真谷!』
『向こうでの生活はどうだ? 』
『まぁなんとか楽しくやってるよ』
しばらくすると響が会話に参加してきた。
『いつぐらいに空港に着くの?』
『アムステルダム空港まであと4時間くらいで、そこから関空に向かうから朝には着くと思う』
『分かった。 着く頃に空港で待ってるからね』
『おk』
『あ、そうだ今は何が流行りなん?』
『今は超きらめき広報部っていうアイドルグループが流行ってるよ 』
超きらめき広報部……ドイツにいた時も聞いたなそれ。
『6人全員可愛くて歌もダンスも上手いから真谷もぜひ曲を聞いてみてくれ』
ドイツにいた時に聞こうと思って忘れていたから助かるわ。
『おすすめ曲のプレイリスト載せたからみんなも聞いてみてくれ』
程なくしてプレイリストのリンクが貼られた。
おぉこんなに曲があるのか。1番最初のから聞いてみよう。 聞き入っているうちにアムステルダム空港に着いたようだ。諸々の手続きを終わらせ、関空行きの便に乗る。時間はあるので、スマホの動画を再度再生した。
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プレイリストの最後の曲が終わると同時に着陸した。タラップを降りてターミナルに向かうと、響が待っていた。「おまたせ、響」
スーツケースを受け取り、響と一緒に自宅に向かう。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈1時間後┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
自宅の扉を開けると何やら騒がしい声が聞こえて来た。玄関の靴を見て僕は察してしまった。
おそるおそる声のする部屋の襖を開けると
「よぉおかえり優!」
何故か両家揃って宴会が始まっていた。
無言で部屋を出ようとすると姉ちゃんに止められた。
「優も20になったんだから1杯飲め!」
そう言ってグラスを渡された。
「何が入ってるの?」
「ん?日本酒だけど」
みなの視線が僕に集まってる。ここは腹括って飲むしかないな。
おもむろにグラスを口につけると一気に流し込んだ。
気道が焼き付くような辛さが通っていく。半分ひったくるようにして取った水をがぶ飲みして事なきを得た。一旦着替えるために部屋を出て、宴会をしている部屋に戻った。響を交えて沢山食べたり飲んだりした。いつの間にか夕方になり、 宴会はお開きとなった。新年の初っ端から騒がしかったけどまぁ悪くはないかな。