綾瀬さんと真谷くん22「打ち上げ」
体育祭が終わったあとの休日、クラスで予定の合う人だけで近くの居酒屋へ行った。僕はカウンター席で注文した唐揚げを食べていた。そこへクラスメイトの男子がやってきた。
「なぁ真谷〜」
「なんだ?」
「綾瀬さんと付き合ってるってホント?」
あぁ……面倒だ。適当にあしらうか。
「あー、そうだけど何か?」
「いつから付き合ってたの?」
「そんなの聞いてどうするんだよ」
なんで知りたいんだよそんなこと。
「いいじゃん別にー」
「はぁ……去年の12月くらいからだよ」
その後も質問攻めをくらった。質問に答えるだけでこんなに疲れるとは思わなかった。
さて無事打ち上げも終わったし帰るとするか。と思っていたら
「次はカラオケ行こうぜ」
と誰かが言いだした。時間的にはまだ余裕があるし行くとするか。というわけでカラオケに入ったが自分は歌わずに、フライドポテトを食べていた。するとクラスメイトの女子が
「ねぇ真谷くんは歌わないの?」
と聞いてきた。
「歌っても音痴だから」
ここは歌わずに済ませたいところだ。別に本気で音痴じゃないけど。
「えぇ~でも真谷くんの歌声聞きたいなぁ」
はぁ。そこまでして聞きたいのか。というかなんで僕なんだよ。仕方がないのでカラオケ機器に予約を入れた。数番余裕があるからその間にどこにどれだけ声量割り振るか考えるか。
「ねぇどんな曲を入れたの?」
「それは聞いてからのお楽しみ」
自分の番ががまわってくる。予約した曲は無難に歌いやすい曲。歌い終わると拍手が起きていた。久しぶりに歌ったからそんなに上手いとは思わなかったんだけども。
「真谷って意外と歌うまいんだな」
「まぁな、姉ちゃんが歌うの好きでよく付き合わされてたからそこそこは」
そのあとも順番にみんなが歌っていった。カラオケ二次会はスムーズに進んでいき、気付けば夕方になっていた。
「もう夕方だし、今日の打ち上げはここまで!みんなお疲れ様」
主催の男子がそういうと参加してたクラスメイトたちが帰路についた。さて僕も家に帰るとするか。響を送っていこう。せっかく大っぴらに一緒に行けるチャンスなんだし。