真谷優の大学留学記75「成人式」

    あっという間にお正月は終わり、成人式の日が近づいてきた。やべぇスーツあったかな……。クローゼットを一通り捜索するとスーツ一式が見つかった。
良かった何とかなりそうだ。
それから程なくして、成人式の日が来た。
成人式は同じ内容で入替制だ。僕の出身中学は1部の方に当たるので1部の方に参加する。
会場まではオンデマンドバスを利用することにした。これは自分で乗る時間を決められる便利な物だ。10分ぐらい揺られていると成人式の会場に到着。会場に着くと沢山の新成人で賑わっていた。まぁ当たり前と言ったら当たり前か。「中学のやつらおるかな……」そんなことを考えながらスマホを眺めていると、ふいに肩を叩かれた気がしたので後ろを向いた。
    するとそこには木花咲耶姫命の現人神ではないかと見紛うほどの響がいた。あまりにも美しすぎて、大声が出そうになったけどぐっと堪えた。「ゆ、優大丈夫？」そんな心配そうな顔されたら心が高天原まで行ってしまうじゃないか。とまぁ乱心するのはここまでにしておいて。「うん。大丈夫だよ」と答えた。会場内に入れるとのスタッフの指示があったので、響と共に会場内にはいった。最前列右側の席に座り、式が始まるのを待った。程なくして1部に参加する全員が揃った。
「Ladies&GENTLEMAN！」司会進行役の声がホール内に響く。
あまりにも声量がでかかったから間違えて立ちかけたけど、座り直すように見せかけて誤魔化した。 
式は順調に進んでいき、抽選会がやってきた。