綾瀬さんと真谷くん59「最後の体育祭」

今日は高校生活最後の体育祭本番だ。優勝出来るかどうかは正直かなり不安だがやりきるしかないな。まず最初は100m走か。よし距離短いし一気に駆け抜けるとしよう。レーンに立ち合図を待つ。しばらく待つとスターターピストルが打たれた。その瞬間に駆け出す。半分まで走ったところで当たりを少し見回すともがいている走者の姿があった。これは勝ったな。そしてそのまま1着でゴールした。すると観客席から大歓声。そのあとは生徒席に戻る。何故かレモンが手渡された。誰だこのシステムこの学校にも導入したやつ。クラスメイトからは賞賛の声があがっていた。
「すごいよ優!相手もなかなか実力があったのに1着取れるなんて」
「まぁ体力には自信があるからな」
そんな会話を交わしながらほかの競技を観戦していた。
そのあとはメイン競技である借り物競走か。頑張らねぇとな…噂によればかなり変なお題が出てくるらしいし。
「さぁ本日の体育祭のメイン競技である借り物競走!参加する生徒はお題が入ってる封筒を拾って確認しましょう。確認したら紙に書かれていたものを私のところへ持ってきてください!それでは借り物競走スタート!」
司会進行と審査員を兼ねた文芸部の人が言う。お題が入った封筒を開けて中を見ると、そこには「付き合っている彼氏または彼女」と書かれた紙が入っていた。おーう。マジですか……まぁ大体は去年と同じだし。
お題が書かれた紙を体操ズボンのポケットに入れて、生徒席へ向かう。クラスメイト達が、
「お題なんだった?」
と口々に聞いてくる。
説明する時間が持ったいねぇ。僕は響にだけお題が書かれた紙を見えるようにした。
「わかりました」
そういうと響は立ち上がった。
「ありがとう。それじゃ持っていくよ」
僕は響をお姫様抱っこして走った。
しかしお姫様抱っこしながら走るのってなかなかきついな……落とさないように気をつけねば。
響を落とさないように無事に走り抜き1着でゴールした。
審査員である文芸部のメンバーのうち、大人しそうな眼鏡っ子に見せた。きゅわきゅわしてた。響には程遠いがかなり可愛かったことを報告、って誰にするんだよこの報告……
「最初の合格者は綾瀬さん&真谷くんペアです!」
文芸部の子がそう言うと大歓声が湧き起こった。
まぁほかも変わり種だったしな。
「合格した人は彼氏または彼女にした告白を再現してもらいましょう!」
おいおいまじかよ……仕方ねぇ。やりますか。
「綾瀬さん!僕と付き合ってください!」
しばらくの沈黙の後
「はい、よろしくお願いします」
と言うと生徒席と観客席は大歓声が湧き起こった。そのあとは響と一緒に生徒席に戻った。
そのほかの出場する競技は借り物競走前に終わったので、他に出る競技もないのでお茶を飲みながら競技を眺めていた。
他にもベターな告白や、少しロマンチックな告白の再現がされて行った。
全ての競技が終わり、結果発表になった。 
と言っても去年と同じく優勝したクラスだけを読み上げて行くので炎天下ではありがたい。
優勝したクラスは、1-3、2-1、そして僕たちのクラスだった。
「これで高校生活最後の体育祭が終わったか……」
まだ7月には修学旅行がある。それをめいっぱい楽しむことにしよう。







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