“海に溶けるプラ”まで!プラスチック問題最新事情を解説 〈2022.03.07 サステナブルコスメ情報サイトEco Beaute掲載記事>
〈※本記事は、原文のまま掲載しています〉
政府がプラスチック使用量減少を企業に促す法律「プラスチック資源循環促進法」を4月に施行することが決まり、より消費者や投資家からの目が厳しくなるといわれています。これまで述べてきたように、この法律では特に化粧品に関する言及はされていません。業界では、いわゆる表面的なプラスチック問題が隆起して以降、容器や包装を見直し、バイオマスプラやほかの素材に代替する方針が多くの企業で見られています。化粧品成分の中に含まれるプラスチック由来成分については、認知はまだまだ低いとみられますが、プラスチックに限らず、配合成分のうち、どの成分が環境負荷がかかっているかなど企業が判別することができないということも問題です。実際、化粧品がどの程度海洋プラスチック問題に関係しているかどうかはどこも出していませんが(というか出せない)、確かに化粧品の容器が海に漂っているという報告もあります。少しでも替えられるものは替えることが、地球環境の保全のためには必要で、環境負荷の低い容器や包装、もしくは成分を採用している化粧品を選ぶことが一般の方において少しでもできることになります。
海中のプラスチックごみが生物や経済に与える影響はとても大きく、世界的に関心を集めています。中国やEUも、使い捨てプラスチックの利用を制限する方針を表明しています。ある専門データによれば、海洋や土壌などで微生物によって分解される生分解性プラスチックの生産量は、2026年には2021年の3.4倍に増えるといわれているほど、注目されています。
このほど、素材メーカーであるカネカが、海洋に投棄されても6ヶ月から2年の間で9割以上が微生物などに分解されるという海洋生分解性プラスチック ”海で溶けるプラ”の生産能力を増強すると発表し、話題になっています。価格は通常のプラスチックの二倍はするが、昨今の”脱プラ”の流れから、多くの需要が見込まれています。この製品は100%植物由来で、現段階では強度において課題が残るが、独自開発した微生物に植物油を与えて、体内にプラスチックを溜め込ませそれを回収してつくる手法に、大変めずらしさを感じます。しかし、コンポストでしか分解できず、海や土壌に投棄した場合長年分解されない物もあるという現実もあり、企業がイメージアップのためにこのような製品の採用を拡大した場合、環境負荷軽減の効果が発揮されなくなってしまうことが懸念されています。また、強度という点においては、すぐには化粧品の容器として採用することは難しいでしょう。
法律の施行により、”過剰な”反応を見せるのではなく、自分にとってどのような判断をとるか(脱プラなのか、環境に配慮しながらプラとうまく付き合うかなど)、個々の多様判断にゆだねられます。
この機会に一度プラスチック問題を改めて考えてみてはいかがでしょうか。