ダメでもスキ11
夫(※注:連載時。現在は離婚済み)は妻である私の他に複数の恋人を持ち、財布の中にはバイト先の恋人2人に会うため、相手によって付替えるペアリングが2つ入っている。
そんなまごうことなきヤリチンである我が夫直伝の女性を落とすテクを披露したい。
曰く、まず「初対面の瞬間は女性に感じ悪く振舞う」。彼が狙うのはその場でもまあまあ目立つ美女だ。
「モテる女性は男から粗末に扱われることに慣れていない。感じの悪い態度を取るとそれだけで自分を印象付けることができる」のだそうだ。
しかしもちろん、そのままではただのイヤなヤツで終わってしまう。ポイントは、時間が経つに連れて印象を柔らかく変化させ、その日の最後には必ず彼女を誉めそやすこと。
「どうでもいい男に最初から褒められるよりも、一度自分を見下げた男に一転して認められることに女は快感を覚えるんだよ」と彼は語る。
同じく褒めるのにも、その振り幅を大きくするということらしい。
これを読んでいる女性はきっと、そんな馬鹿な、と思うに違いない。私も個人的にはなかなか承服しかねるテクニックである。
しかしよく考えてみて欲しい。これは実を言うと太古から繰り返されてきた少女漫画の手法なのである。転校生の不良が、はたまた意地悪な幼馴染が、ある時を境に私だけに優しくなった! みたいなアレだ。ほら、もう恋の始まる予感しかしない!
く、悔しい……。
続く
※こちらはスポーツニッポンアダルト面にて水曜日に連載中の拙コラム「ダメでもスキ♡」の再録です。