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深志美由紀
2019年5月15日 07:44
目を覚ましてしばらく、自分がどこにいるのか思い出せなかった。鏡張りの天井に、並んで寝転んだ男女の姿が映っている。妙に蒸し暑い。私はゆっくり起き上がって辺りを見渡した。頭に泥が詰まっているように重い。部屋の壁は天井だけではなく四方も鏡張りだった。寝癖が付いていることに気付いて、私は前髪を手櫛で整える。鏡の中の自分に上目遣いでちょっと微笑んで見てから、改めて部屋を眺めた。小さなダブルベッド、