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深志美由紀
2022年11月6日 10:42
* たたた、たたたん。 もう何百回目になるだろう、鳴り続ける着信音を聞きながら、俺は苛々と頭を掻きむしった。――何で出ないんだよ、クソッ! 舌打ちして電話を切り、床へ投げつけたい衝動を必死に抑える。 同じテーブルに着いたパートのおばちゃんが眉をひそめてこちらを見ているのに気づいて俺は無理やり愛想笑いをした。また、会社を辞める羽目になったら叶わない。 ――畜生。美枝子のヤ