シェア
深志美由紀
2019年5月14日 10:11
いつもの緊張感。 テレビのニュースだけが響くしんとした食卓で、七緒は箸を取った。 窓から刺す温かな日差し、微かな小鳥の鳴き声。七緒の目の前にはあじの干物とご飯と味噌汁が並んでいる。目の前にはパパが座り、おかあさんがぱたぱたと忙しくキッチンを行き来する。さわやかな、朝の食卓。 でも、また。 そこにいつものように、ぴりぴりとした緊張感が漂っているのを肌で感じる。七緒はそれを壊すように大きく