倦怠期の時、夫に愛の伝え方を教えた話
夫と出逢って42年。結婚して41年が経つ。
X (ツイッター)で3年間、夫とのラブラブぶりを発信してきた。良い旦那さんで、幸せですね、とよく言われる。不思議な気持ちになる。
結婚して15年間は茨の道だった。喧嘩は絶えず、離婚しなかったのが不思議だった。
今から20年ほど前、転機が訪れる。倦怠期の真っ最中だった。私は夫に愛されていると感じていなかった。
世の夫君達の、妻への愛の伝え方は、人によって様々だろう。家事や育児に積極的に参加する。妻に感謝の気持を伝える。妻をデートに誘う、などなど。
夫も一連の行動を実践してくれた。しかし、私の心は、満たされていなかった。
ある日、カウンセラーのアドバイスに従って、デートに出かける準備をしていた。
私は化粧をし、セクシーな服を身に着け、普段はつけない香水も付けた。
同じ寝室にいる夫は、そんな私には目もくれず、葉巻のコレクションをニヤニヤしながら見つめ、その香りを嗅ぎ、うっとりしていた。
夫は葉巻にハマっていた。メールオーダをすると、葉巻の届くのが待ちきれず、届くと飽きもせず、いつまでも葉巻を見つめ、香りを嗅いでいた。
私はキレそうになり、何度も尋ねた言葉を、再度夫にぶつけた。
Do you love me?
返ってくる言葉はいつも同じだった。
I don't know what love is.
その時、私の口から、まるで完璧なドラマの脚本の様な言葉が流れ出した。
貴方が、葉巻を愛するように、私を愛して!
葉巻が届くまで、葉巻の事をずっと想うように、私を想って!
葉巻を見つめるように、私を見つめて!
葉巻にするように、私の香りにうっとりして!
夫は難解な問題が解けたように
I see, I got it, I'll try all of them、
と素直に言った。
夫は、妻を女性として愛するには、どうすれば良いのか、初めて理解できたようだった。
そして、夫は葉巻を愛するように私を愛してくれた。
私を想い、見つめて、香りにうっとりしてくれた。
私は満足だった。
その後、20年間、結婚生活がスムーズだったのは、葉巻的な愛され方のおかげである。
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