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杉本善徳 / Waive インタビュー PART 2 「コロナ禍における アーティストの可能性」

コロナ禍で、たくさんのバンドが試行錯誤しながら活動を続けている。
“解散中”であるWaiveの場合は、思いがけなく活動が続く形になった。
Waive 20th Anniversary Again #2 TOUR 「NEED…?」は、
11月23日の渋谷O-EASTのツアーファイナルを迎え、
2022年1月29日LINE CUBE SHIBUYAでのライヴ、
Waive 2Øth Anniversary GIG FINAL「& AGAIN」が控えている。
コロナ禍での活動を、杉本善徳自身はどう見ているのか。
ソロ活動も含め、コロナ禍でアーティストでいることを問うた。
(取材は、8月下旬ツアー前に行いました)


●新宿BLAZEでのライヴのMCを聞いて思ったんですけど、コロナの感染が広がることで生じた変化は不可逆的、もう戻らないものだと考えていらっしゃるみたいですよね。それは去年の春、最初の緊急事態宣言の取材の頃から思ってたことなんですか。
「僕は当時からそうでしたね。あのときもwithコロナの話をしたと思うんですけど、かなりそう思っていました。もちろん予想外のこともあったけど。何て言うのかな、問題なのはウイルスじゃないですか、大雨とか地震とかじゃなくて。ウイルスはあくまでひとつの命なんだと思ってるから、生存するための必死さを持っていると思うんですね」

●気象とかの現象とは違うと。
「そうそうそう。だから、人類が新しい生命体である新型コロナウイルスと出会ったときに、その生命体を駆逐する力は持ってないだろうと僕は考えてるんです。人間は知能が発達してるから頭のいい人たちが研究し倒すけど、奴らは死ぬわけにはいかないからそれより速く成長して、みたいなことを繰り返していくんじゃないかなって。だから、免疫ができていってコロナに慣れたり、インフルエンザみたいな扱いになっていくところまでは、今みたいな状態が続く気は最初からしてました。だからある種、あきらめてるんですよ。慣れるのを待ってる」

●エンターテインメントに対するコロナの影響という面でいうと、慣れた後の世界は変化しているわけだから、エンターテインメントも変わるわけですよね。
「エンタメに関しては、何を介して感染するかということが大きくて、それでライヴというエンターテインメントは変わっているんですよね。感染の理由が飛沫だから、特にロックみたいなことにはダイレクトだったと思う。だから、これはダメだなっていうのが、僕の中のある種の結論だったかな。去年2月29日にソロのライヴをやったときが、ちょうどライヴがNGになり始めてたぐらいでしたけど、僕はこれからは絶対無理だともう思ってた。Waiveが今ツアーをやってるように、やる方法はあると思ってますけど、カタチは変わっちゃうんだなっていうのはそのときから思ってましたね」

●今ではオンラインライヴが一般的なものになってますよね。それについてはどんな風に見ていますか。
「当然こうなると思ってはいたんですけど、生のライヴとは別ものだと割り切れるお客さんが多いのはちょっと意外だったかもしれないですね。もっと生であることを求められるかなという気がしてたので。極論、VR的なものが発達していくのかなと思ってました」

●生感を如何に感じさせるか、みたいな?
「配信だけど、ゴーグルをつけることで生のように見える、とか。あるいは、自分のアバターみたいなのが画面の中のステージを観に行くみたいな感じになるのかな、とか。まだその可能性はあるかもしれないですけど、思いのほか、ライヴというよりテレビとして見てくれるようになったというか。コメントできるテレビみたいな感じですよね。ライヴとDVDの間にある、配信ライヴという別のジャンルをちゃんと確立させて観てる人が多いことはビックリしてますね」

●ライヴでもDVDでもない、そういうモノとして受け入れられたと。
「うん。ライヴを生で観た人が配信も観ることが多い気もするし、配信ライヴしかしない人たちに対して、否定的な意見がもっといっぱい出るかなと思ったけど、最初の一瞬だけですぐ沈下したというか。あんまり賛否両論みたいなことが続かなかったのは意外でした」

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●演者の側としてはどうなんですか。配信のみのライヴはやってないですよね。
「お客さんを入れずに配信だけでライヴをやるとなったら、難しいんだろうなという漠然とした想像はしてますね。Waiveは、その場のテンション感に大きく影響を受けるタイプのバンドだと思うから。そこを失うことによって変わる部分はもちろんあるんじゃないかな。あんまりイメージしてないですけど、向いてないやろな、ぐらいのことは思ったりします。もしやるんだとしたら、セットリストを全然違うものにしたりして、何か違うことをやってるんだって自分らの頭に言い聞かせてひとつのショーを作らないと、いつものWaiveのライヴを無観客で配信でやれと言われたら、ちょっと難しいのかなと思いますね」

●そこでだから表現できることとか、そこでしか表現できないことを追求するみたいな、積極的な評価はありませんか。
「俯瞰して配信ライヴというものを見てる分には、あります。たとえばBTSとかBLACK PINKの配信ライヴとかを見かけて、すげえな、これは生だと逆にできねえなって感じたし。世界中の多くの人が同時に観たとなれば、新しいエンタメの形はこうであるべきだと思いますよね。彼ら彼女らは、IT先進国の韓国のアーティストで、日本みたいにITリテラシーの低い後進国からしたら追いつけないけど、学ぶべきものなんじゃないかなと思いながら観てます。でも、国ととか技術とか関係なく、僕らにはできないことですかね。そもそも集客とかマネタイズができないから」

●仮定の話ですけど、万が一できるとしたらやりたいんですか。
「やりたい。こんなことしたいなっていう演出とかはいっぱいありますね。国内でいったら、セカオワとかは観ててうらやましい演出するなって思う。全然違うところで言うと嵐とかもそう」

●それは、そういうものがあるんだったらという仮定があって、新たに出て来たやりたいことなんですか。
「停滞するエンタメほどしょうもないもんはないと思ってるから(笑)」

●なるほど(苦笑)。
「自分たちがやっていることにも正直それは感じてるんです、このまま停滞してたらダメだよなって。もちろん安定は必要なんですけど、エンタメを作る人間がビジネス目線とは別のところで安定を求めてしまったとき、やっぱり退屈なものになる。そのバランスは、個々に計ってやってると思うんですけど。ビジネス目線を抜きにしたときには、新しいことというか、常に変化を求めていきたい気持ちはあるから、もしもできるんだったら変化させたいし、新しいことがあるならやりたいですよね」

●そこで自分ならもっと違うものができるという気持ちがあると。
「ありますあります。自分にもそれはあるし、それを観たらみんな嬉しいはずだよっていうアイデアもある。最近だと、ディープフェイクの技術がすごく向上してるから、ブルース・ウィリスがCMの撮影で海外に行かないといけないけど無理なので、そのシーンに関してはディープフェイクの技術でやるとか。こういったCMや映画のように潤沢な予算を使えば見分けがつかないぐらいのレベルができるし、そうすれば渡航費をギャランティに回せるし、スターの需要がより増すんじゃないかっていうニュースが出てたんです。撮影がバッティングしても、両方の作品に出られるようになるんですよ」

●供給が増すということですね。
「我々も自分らのライヴで、若い頃の自分らの顔をはめて配信やったらどうかなとか、メンバー同士の顔だけ変えてパートチェンジしたらどうかなとか、それらが面白いかどうかは置いといて、とにかくそういうのは興味がありますね。それがしたいわけじゃないけど、挑戦する中で何かが面白いはずなんですよ。やれば面白いのになって思うことはいっぱいあります」

●そういうことは、技術やシステムがないと成立しないですよね。去年の取材で配信の話をしたときに、インフラの必要性をおっしゃってましたけど、それがLive Heavenのように仕事の一部になるだろうというのも既に考えてたことだったんですか。
「正直、そうですね(笑)。だいぶヤバい奴感が増してしまうけど、その前から違う配信プラットフォームに対して個人的に動いていたんです。その後、自分の目指す配信プラットフォームと見解が近いLive Heavenと合流しました。最初の会社はライヴハウスの救済をする方向にいったんですね。それもやりたいけど、僕はもっと生活に密接に入っていくものを配信でやるべきかなと思ってるから。音楽でも使えるけど、音楽じゃないところで使えるようにしたいんです。もうちょっと生活に密接してるもの。僕がよく説明で言ってるのは冠婚葬祭とか。コロナ禍でお葬式に行けなかった〜みたいな話を多く耳にしたけど、配信で参列できるだけでも救いになったんじゃないのかなって」

●今、それはエンタメじゃないでしょって言おうと思ったんですけど、冠婚葬祭のエンタメ化ですよね。
「そうそう。お葬式にエンタメという表現は合わないけど、生活に近いところにあれば配信に意味が出てくるし、それによって観る側も配信の知識とかIT知識も増すと思うんです。日常的に使うようになったら、今日はこのライヴの配信を観よう、でも4時からのお葬式に配信で出た後で間に合うかな、みたいな感覚になるのが、アーティストのライヴを救う可能性にようやくつながるんだと思う。今日はzaikoやから登録して、次の日はStreming+か、みたいなことをやらせてる間は無理でしょ、って思う。CD購入のオンラインイベントとかも店ごとに登録しないとダメで、そういう面倒くささが購入を遠ざけることはあると思うから。それを救うインフラが必要なんですよ」

●確かに今の状態では、利便性が高いとは言えないかもしれないですね。
「サブスクの映像サービスがAmazon、Netflixだなんだっていろいろあっても、とりあえずひとつに入ってればこれだけのコンテンツが観られるでしょっていう環境にならないと。ただ、音楽ライヴだけになるとマネタイズできるコンテンツが少なすぎるんです。巨大コンテンツなら可能なところもあるので、例えばB’zだけのチャンネルだったらできるかもだけど、Waiveだけが観られるプラットフォームなんて成り立つわけがないから。オールジャンルで、映画もあればドラマもあれば、歌舞伎とかの伝統芸能もあれば、ライヴもあればっていう雑多なプラットフォームが作れたらやれるんちゃうかな。まずはそうならないと、配信での活動が始まらないと思うんです。Netflixみたいなサブスクで映画を観るのも、数年前までは想像できなかったと思うけど、これだけ一般的になってるわけだから可能性はあると思うんですよね」

●それをやろう、やりたいというモチベーションの源は、アーティストの自分とかバンドマンの仲間が使えるからですか、それともビジネスチャンスだ!っていうことですか。
「その2つやったら、後者かも(笑)」

●それ以外だと?
「今、僕の周りに若いアーティストやタレントがたくさんいるんです。そういう若い子らがコロナで自分が立つステージを奪われたのを見て、自分らが東京に出て来てすぐにこんなことが起きてたら地獄やったんちゃうかなと思ったんです。それを救いたいはきれいごとすぎるかもしれないけど、それで自分も儲かったり、自分らのコンテンツも突っ込めたりするんやったら、win-win-winかもしれないぐらいの考え方ですね」

コロナ禍で歌劇団がつくれていたら…

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●なるほど。新宿BLAZEのライヴのときは、配信がないことをすごくMCで話題にされていたので、有観客のみの公演は、将来的にチケット代が高額になったりするのかなと思ったんです。ある一定数しか観られないようにすることで価値をあげるという、逆のビジネスもありえません?
「確かにな。チケット代のことを言うと、満員にできないから値段は上がってますよね。でも、実は補助金をもらっておきながら、お客さんはそのことを知らんやろうから、“チケット代を上げとく?”みたいにやってるように僕には見えるから、エンタメをやってる奴らはヤバいなって感じてます。経済産業省とか文化庁が一生懸命やってくれてることに対して、我々もエンタメを終わらせないぞって意識高げに(笑)、言ってるじゃないですか。僕もそういう意識がゼロではないから、エンタメを終わらせないためにはお客さんの財布も今までと同じ状況でするべきなんじゃないのって思う。(キャパの)半分しか入れられないからチケット代は倍ってなってるのを見ると、え?って思う。このタイミングでそんな稼ぎたいんやって。このタイミングで稼ぎたい奴は、絶対しっペ返しをくらうと思ってますね」

●そういう人たちっているんですか。
「いると思うし、もし補助金とかをもらってなくてそうしてるとすれば、無知なんやと思うんです。調べずに文句言ってる奴はやっぱり悪だから」

●悪…。
「その職業をやっていくうえで必要なことを知らない無知は、罪じゃないですか。もちろん、知りませんでしたっていうことは誰にだってあるんです、僕だって最初はそうだから。誰かに教えてもらって知りました、“ごめん、知らなかったんです”っていうのはいいんです。じゃあ、知れてよかったね、次はやめようねでいいと思うんですけど、その手前の奴が多い印象がある。自分のやりたいことをやりたいと言ってるだけで、お客さんがどうやってお金を稼いでライヴに来てくれてるか、なんて考えへんねんなって。そういう奴にはもうついていけない。エンタメ従事者として、自分のどの部分がほかのアーティストと比べて勝負できるか考えたら、知力とはあんまり言いたくないけど、少なくとも頭で考える力の部分が自分の武器かなとは思ってますね」

●こういう状況は、善徳さんはもともと持ってた力がより力として発揮できる状況なのかなと思うんですけど。
「いや、それはないんじゃないのかな。どうなんやろうな」

●単純に、ライヴができなくなったので毎日ギターを練習しますっていう人もいるわけじゃないですか。でも善徳さんはそういうタイプじゃないですよね。善徳さん個人の話で言うと、映画を作りたいとか、言葉を使った何かみたいな話をしてたじゃないですか。そういう活動についての考えはコロナでどうなりました?
「映画の話をしたのはコロナの前だったと思うんですけど、違う気がしてきてて。2年前ぐらいから、宝塚歌劇団をつくりたいと思うようになってたんです」

●それは、宝塚のどういうところを目指して?
「宝塚歌劇団って、お芝居する、歌う、踊る、あとは言葉として適切かはわかりませんがジェンダーを凌駕したものをしているコンテンツじゃないですか、もちろんそれだけじゃないけど。その中でもハイクオリティなものが宝塚だと僕は思ってるんですが、それのもっとチープなものが存在してもいいのになって」

●確かに。二番煎じ的なものは今はないですね。
「それと、バンドでもアイドルでも、なんでそこにお芝居や物語の要素が少ないんだろうと思ってたんです。Psycho le Cémuが好きだって昔から言ってたのは、その要素があったからなんですよね。エンタメとしてああいう形のものはすごく好きだし、15年ぐらい前にSound Horizonを見たときも面白いなと思ったんです。それだったら、もっとアイドルっぽいものにこういう要素を入れて、宝塚みたいにできたりしないのかなと。それを考えたのが2年前で、その辺りから日本国内でもジェンダー論みたいなのが過熱してきたんですよね。僕は正直ジェンダーに対する見識が浅いからあまり強くは言えないけど、ビジネスとしてはそういうところにも触れられるから、新しい組織を作れないのかなと思ってやり始めてたんです。LGBTQの子とか、アメリカ系の黒人と日本人のダブルの子とか、かなり社会的主張の強い(苦笑)、そういうグループを作ろうとして進めていたんですよ」

●なかなか難しそうですね。
「そう。やっぱり上手くまとめられなくて、やりたかったタイミングでできなかったし、さらにコロナ禍になって。そうこうしてるうちに、地方で少女歌劇団が立ち上がったり、アニメなどのコンテンツでも歌劇を中心としたものがひとつのシーンとして存在するようになった感があって。自分が注目してた時期にリリースまで持っていけなかったのと、持っていった人たちがいることに実力差を感じたので、僕の中でちょっと熱量の場所が変わってしまったんです。それが自分が考えるタイミングでできてたら、たられば論になっちゃうけど、配信でも楽しめるエンターテインメントのひとつになったし、有観客でも椅子に座って声を出さなくて拍手するだけでもっと楽しめた可能性は高いのかなって。だから、いまだにすごくもったいないことをしたと思ってます」

ソロはやろうと思っている、と取材で言うことの意味

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●ソロでギターを弾く、歌を歌うことについては、2020年2月29日のライヴ以来、特に動きはなかったわけですが、この先についてはいかがですか。
「Waiveの1月の渋谷公会堂が終わったら何か考えようかなとは思ってます。何かをすることには前向きなんだけど、規模感を考えると特別なことができないからあんまり前向きになれないところがある。今まで全然やってなかった違うことで、新しい形を思いついたらやってもいいけど、今までみたいに何となく既存曲をやる、みたいなことはできないんじゃないかな」

●演者であること自体への関心が下がってるとか?
「いわゆるオンステージでのソロみたいなことはやりたいんですけど、今まで作ってきたソロはもうやりたいことができないところに来てしまってるというか、ピークアウトしてしまってると思うんですね、うん。やりたいことはもちろんあるんですけど、そこまでたどりつけなかったプロジェクトになってしまったから、変な表現ですけど、損切りするしかないところまできたかなと思う。だから、どうせやるんだったら違うことをしないといけないし、それがオンステージではありたいんだけど、あんまりピンとはこないんですよね」

●何かが見つかれば、ピンとくるんでしょうか。
「やっぱり需要と供給のバランスみたいなのが絶対ありますよね。自分が俯瞰で見るアーティスト杉本善徳さんというのがいるわけじゃないですか。その杉本さんに対する需要は、なくなってはないと思うんです。何らかの魅力はあると思うし、求めてくれてる人がいるのも知っていると。でも、僕がこう在りたいものと、こうで在ってほしいとファンが求めてるものには、すごくズレを感じるんですよ。でも、それを押し付けてまでやりたいことかと言われると、そうじゃない。僕は表現者かもしれないけど、勝手に表現して楽しめるタイプではなく、キャッチボールすることが楽しいタイプだから、一方的に殴りつけてどうや、みたいなことはしたくないんです。本当はソロでだから見せたい部分もあるけど、今までやって来たバンドと比べられても俺のほうが上だよって思えるエンタメをやりたいですよね」

●そうおうかがいすると、今までソロでやってたことはやりたくなかったことなのかって思っちゃいますけど。
「そうじゃないけれど、やりたいことが似合うことだったりできることではないよなと。結局は、自分という人間に見合ったことしかできないんですよ。そして、それは僕のファンとか、自分の活動のリーチが届くシーン、何なら日本の音楽シーンに需要があんまりないのかもしれないし、それはマズいとも思ってるし。ただ、配信は世界中の人が観られるから、自分のクリエイティブは海外で受けるシーンあるでしょとかはある。やり続ける根性が僕にあって、海外にアプローチし続ければ、国内よりはバズるかなという気持ちはありますよ。ただ、それが僕のなりたい姿とはかけ離れているので、違うことを考えないとダメになっちゃってると思うんですよね。それがあんまりひらめかないし、ひらめいたところで一緒にやるミュージシャンを探さないといけないし、そういうのも疲れたんですよね。都度言ってるみたいに、ミュージシャンは話が合わん奴が多いから」

●ソロ活動を待っているファンの人にとっては微妙な話ですね。
「自分的には全部ネガティブではないんですよ。同じことを伝えても伝わり方が違ってくるからどう話すか難しいですよね。“ソロはやろうと思ってるんですよ、でもやれないんですよ”っていう言葉を読んで、“やれないんですよ”のほうだけを汲み取るからネガティブなだけで、“やろうと思ってるんですよ”、はポジティブじゃないですか。“やろうとも思わないんですよ”じゃないし、大事なものは意志だから」

●やろうと思ってるんですよ、の後に、これをねっていう発展した話が聞きたいじゃないですか。
「そこは、1月の渋谷公会堂が終わったら考えないとなって思ってます。考えた結果できなかったら、何やそれっていう話になるんですけど、できたときには、このインタビューで話していた、こういう考え方が四苦八苦あって、ここにたどり着いたんだなっていうことを楽しんでもらえると思う。僕、インタビューで大事なところはそこだと思うんです。過程が見えるところ。ブログとかTwitterでも、考えてることは言えるけど、質問をされないから自分の言いたいことしか言わないし、言いたくないことは書いても消しちゃうから。自分が編集したものしか見せないと、自分の器以上に大きくならないから、インタビューみたいに、第三者に引き出してもらった部分が物語として結果に紡がれていく過程みたいなものを楽しんでもらいたい。これを読んだ人が、ツアー、渋公、その後のソロワークがあるならソロワークを目にしたときに、あの発言からこういうものが生まれたんだとか、逆にまた同じことやってるやんけ、でも何でもいいから、このインタビューを踏まえたうえでそれを楽しむのがいいのかなと思うんです。だから、ここを結論として読むんじゃなくて、終着点まで一回見てって言いたいですね」

インタビューという形を通して、アーティストがSNSなどで直接届ける言葉には乗らない“何か”を届けられたらと、コツコツがんばっています。その“何か”を受け取れた、と感じてくださったらぜひサポートをお願いします。大きな大きな励みになります。