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DAISHI×Lida×seek / Psycho le Cému インタビュー

昨年の春から、新型コロナウイルスの感染拡大に
たくさんのライヴが翻弄されてきた。
20周年記念の活動中だったPsycho le Cémuも、そのひとつだ。
20周年のツアーファイナルを地元である姫路で迎えるはずが延期、
さらにその後に予定していたLINE CUBE SHIBUYAも公演見送りとなった。
けれども8月14日、当初予定していた姫路市文化センターで
『理想郷旅行Z ~二十年後の僕たちへ・・・~』を行う。
厳しい時間を乗り越え、そして今なお手放しで喜べる状況ではないが、
だからこそ強くたくましくなった5人の姿が見られることだろう。
ライヴを目前に控えたDAISHI、Lida、seekの3人に話を訊いた。


●いよいよ姫路市文化センターのライヴが近づいてきました。ここにたどりつくまでコロナ禍でいろいろなことが起きて、本当に大変だったかと思うんですが、いかがですか。
DAISHI:姫路市文化センターが延期になって、渋谷公会堂(LINE CUBE SHIBUYA)が決まったときは、モヤッとした感じはありましたよ。姫路でやろうとしてたことを渋谷公会堂でやろうとしたことに対してですよね。やっぱり姫路でやりたかったから。
seek:その段階では、今回の8月14日も決まってなかったですしね。

DAISHI:頑張って気持ちを切り替えましたけど、それから渋谷公会堂も見送りになって、また姫路が浮上してきたときは、腑に落ちたようなところがありましたね。よくはないことですけど、これは悪くないシナリオだなって個人的には思いました。

seek:結果、ファンの人を振り回してしまったよね。渋公であのコンセプトをやると発表したときは、「姫路でやると言ってたコンセプトを東京でやっちゃうんだ…」っていう意見もあったし。5月の渋公を発表したときは、全員を幸せにできない感は感じたかな。さらに、その5月もできなくなって。誰が今、幸せになってるんやろうって感じたから、僕は6月ぐらいは正直言うとダウンの時期でしたね。でも、その後、いろんな人のいろんな意見の巡り合わせで姫路のライヴがピシッとハマるときが来たんですね。今なら姫路できるんちゃうというのが重なって、そこからはみんな持ち直した感がありました。

●Lidaさんはいかがでしたか。
Lida:こういう話は言葉を選んでしまうんですけど、ん~、僕個人的には、メンタル的なところはそんなに変わってないですかね。全部の流れに意味があるのかなって思うようにしてるから。あのときできていたら、もしかしたらいい結果にはならなかったかもしれないとか、そういう考え方になっちゃうんです。ファンの方に対しては悩ましい気持ちのほうが強いですけど、僕個人的には公演ができることに対して有り難いという気持ちがより強くなってますね。

●起きたこと全部に意味があるという考え方は、もともとお持ちだったんですか。コロナになってから?
Lida:もともとそういう考えはあったんですけど、世界がこういう状況になってより思うようになりましたね。世界がこうなったことについても、地球全体で考えると意味のあることなのかなとか。今まで人類がやってきたことによって、結果的に地球規模でこういう事態になったというか。だから、こういう事態に対して僕は抗えないと思うんです。ただ、ライヴをやれる状況を作ってくれたこととか、応援してくれる人がいることに対しては、それに応えたいし、そのためにもステージに元気な姿で立ちたいという思いが大きいですね。

姫路市文化センターは、新たなスタート

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●8月14日の姫路市文化センターのライヴが決まった経緯は?
seek:去年の5月3日が延期になってから、日程はずっとさぐってたんです。
DAISHI:このコンセプトを渋谷公会堂でやることになった後も、それとは切り離して姫路でライヴをやらないとってメンバーは思ってました。
seek:俺らが姫路でやりたいというだけでできることではないのかなともすごく思ったけど、あのステージに立ちたいという気持ちは強かったですね。

●それだけ特別なわけですよね。
DAISHI:でも、姫路という土地にスタッフを大勢連れていくのは、リスキーではあるんですよね。
seek:ここのところ、東京でしか俺らがライヴをやってないのは、それを踏まえてるからなんです。そこは意識しますよね。スタッフを連れてバンドで動くということのリスクを、この1年いろんなところで感じてきたから。

●そういった諸々のことを考えて、調整してきた結果、8月14日になったと。決まったときは嬉しかったですか。
seek:腹をくくる感じに近いですかね。2020年5月3日に姫路でライヴをやるときは全員が幸せになるんだと思ってたけど、全員を幸せにすることはできないのかもなっていうことを経験してきたから。今、俺らが8月14日に姫路でライヴをやることに対しては、腹をくくってステージに立たんとあかんのかなっていう感じですかね。

DAISHI:僕ら、去年の5月3日の姫路のチケットの販売枚数を知ってますからね。そういう意味での腹をくくる感じはありましたね。有観客で東京でライヴをやってみて、コロナ禍だとこれぐらいの人が来てくれるというのを知ったうえで、姫路でやることを発表しましたから。

seek:来れない人がいっぱいいることも知ってるし、「行きたいけど行けないけど応援してます」っていう言葉もいっぱい見てきたから。そういう人たちの思いも持ったうえでステージに立ちたいですよね。そういう人らも見たかったでしょうからね。

●Lidaさんとしては、姫路でのライヴが決まったことにも意味があると感じていますか。
Lida:その日程で姫路市文化センターという場所で僕らがライヴができるのも、ひとつの意味があることなんですけど、僕はどうしても半々になってしまうというか、嬉しいだけにはなれないというか。僕らはやろう、頑張ろうって突き進むんですけど、状況が状況なんで、そのことも考えないといけないですよね。ライヴをやって、会場にいた人とか配信を見た人とか、僕たち側だけが達成感を味わっていいのかとか考えてしまうんです。

●状況を考えると確かにそうかもしれないですね。
Lida:ただ、姫路という土地でやる意味合いは、僕たちのこれからの将来につながるものだと思うし、それで終わるものではないと思うんです。そういう意味では、去年の20周年に姫路市文化センターでの公演ができなくなったのは、僕らにとってはまだだったということなのかなって。「お前ら、頑張ってこいよ」って、「まだ姫路でできひんで」って、姫路が言ってるようなね。そう考えると、僕たちも今までどおりではダメだと思うし、公演を成功させることだけじゃなくて、その公演をやることに対しての気持ちが重要やと思います。そこから、姫路と僕らお互いにとっていい関係性を保てるきっかけになると思うから。

seek:それは俺もすごい感じますね。去年は、20周年のファイナルやったから、余計ゴール感を感じてたんですけど、今回はスタートになりそうな気がすると思ってます。この1年間に姫路の公演についてメンバーでいろいろ話してたときに、姫路での活動をこれからの軸に入れていきたいという話も出てたし。今回のライヴで、5月3日にやろうとしていた内容が全部できるわけではないんです、いろいろ制限があって。それが悔しい気持ちが強かったんですけど、これをスタートと考えるんであれば、全然これから先にやっていけるんだなって最近は切り替えられるようになってきてるし、Lidaさんのいうスタートという意味はすごくわかるなと思いましたね。

20周年にコロナ禍を迎えた意味

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●20周年というバンドにとっての節目がコロナに見舞われたことで、バンドをやることや自分たちのバンドそのものについていろいろ思うところはありますか。
DAISHI:せめて、(去年の5月3日の)姫路市文化センターが終わってからのコロナやったらって思いますけど。
seek:それはあったけど、姫路市文化センターをやった翌月からコロナが広がってたら、ちょっと休もうかっていうことになったかも。
DAISHI:そやな。やらないとあかんことが残ってたからこそのパッションはあったかな。

seek:Psycho le Cémuは、結成したときからほかのバンドより結果を求めてきたし、目標みたいなのが明確にあるから。ずっと道半ばであることが僕らの原動力につながってるところがあると思います。悔しさはあるけど、だからこそそこに向かっていってる感じがある。

Lida:たまたま20周年のときにこうなっちゃいましたけど、バンドとしては逆にいいタイミングやったのかなと思います。もちろんツラいことも悩ましいことも多いですけど、このバンドにとってはいいきっかけやなと思えるようになったかもしれないです。20周年のツアーがちゃんとできて、姫路で終わりましたってなってたら、やり切った感でちょっと止まってたかもしれない。中止や延期になって、次どうしよう、どう見せれるんかなって考えることで、みんなが同じベクトルで考えられたんですよね。僕個人的にも、バンドの中の自分の位置だとか、何ができるんだろうとか、もっと言うとこの先音楽に対してどう付き合っていけるんだろうとか、そういうことを考えられたと思います。音楽をすることさえも危うくなった時期があったじゃないですか。そういう意味では、いいタイミングで見直せたのかなと思います。

seek:Psycho le Cémuは、結成22年と言ってるんですけど、実質空白の期間があるわけですよね。99年から始まって6年しか活動してなくて、お休みの期間があって。次に2014年から始めて2020年までで6年やったから、何となく6年周期になってる感があるんです。だから、20周年を経た後にどうするんやろうということは、こういう状況になる前から実は考えてはいました。Psycho le Cémuとして日本武道館に立ちたいという目標があるから、どんな道筋で行くのかは考えてるけど、この6年間に関して言うと、一度は止まったPsycho le Cémuがまたやれた喜びみたいなのがあったんですよね、ファンの人にとっても。それが、ファンの方もだんだん落ち着いてきて、いつでも見れるPsycho le Cémuになってきてる。活動ができてうれしいだけじゃ武道館には立てないというのがわかった6年間でもあったんです。そこから先、武道館という目標に向かうところで、Psycho le Cémuがこれからどういう風な道をみつけるんやろうというのはテーマとしてありました。今のような状況になっちゃったのも、それと何となく重なる部分がありますよね。今って、何の縛りもないんですよ。ここまでにリリースしなきゃあかんとか、そういうのが一切なくて。だから、何とでもしようがあるし、まだそこまで明確に打ち合わせはしてないですけど、そういう内容を会話してることが多い気がします。

DAISHI:そうね。前向きというか、結成当初みたいに、Psycho le Cémuをどうやって売っていくんかっていう会話が増えた気はしますね。それはコロナのおかげもあるかもしれないですね。
Lida:こういうことは言いにくいかもしれんけど、年齢的なこともあるかな。今後どんぐらいステージに立てるんだろうというのがちらついてくることもあるし。そう思うと余計にバンドに対する在り方はそれぞれが考えるようになったかもしれないですね。

ファンへの感謝とライヴができる有難さを胸に

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●姫路市文化センターのライヴの内容については、去年5月3日に予定していたコンセプトなんですよね。
seek:タイトルで、『~二十年後の僕たちに…~』て言ってたのが、もう22年後になってるんで、脚本はアップデートしてもらってますね。第14帝國の楠本柊生帝國元帥に書いていただいたんですけど、Psycho le Cémuの世界って面白いなって思いましたね。俺ら5人のキャラクターがいて、20年間の活動をファンタジーの世界に落とし込んだら、こんな面白い話になるねんなって。今リハーサルをやってるだけでも興奮するぐらいの内容です。
DAISHI:脚本は今までで一番面白い気がしますね。

seek:今までもエンターテインメントをしたいって言ってきたけど、このお芝居は本当にすごいなって思いますね。僕らノリが関西なんで、笑いにしちゃうお芝居が多いんですけど、今回はもちろん笑えるし楽しめるし、泣けるし。本当のエンターテインメントの在り方が詰め込まれてます。っていう自信作だっただけに、それがこの1年半できずに迎えた今回を見てほしいですね。今までPsycho le Cémuのことを知ってくれた人には全員見てほしい。
DAISHI:それは思うね。生で見てほしいよね。
seek:これは姫路で見たら感動するぜっていうライヴですかね。

●今、絶賛リハーサル中なんですよね。
Lida:バンドのほうが問題ないかなって感じですけど。
DAISHI:エンターテインメントのところが頭がヤバいですね。

●覚えることとかが多くて?
DAISHI:立ち位置、スタート、転換。地雷だらけなんですよ(苦笑)。脚本家さんがいるんでね。自分らで台本を書いてたら、みんな下手から出ることにしようって間違えないように考えるんです。危険な橋は渡らないで。
Lida:やりやすいように、な。
DAISHI:演出家さんがいるんで、それは複雑になってますね。

seek:そのフォーメーションになってることにも意味があるから。俺らやったら、台詞回しのためにこの順番で動きますみたいなところが、このきっかけで誰がどう動いてるから、どこの立ち位置でこの人がしゃべってとか、ちゃんと考えられてる。そんなすごい作品にできてるのが嬉しいし、それが僕らが題材の話なわけじゃないですか。もともとは5人で、『てんじく』っていう中華料理屋で衣装の絵を描いたところがスタートやけど、22年やってたらこんなに深みを増すのかと考えると、夢のある話やなと思いますね。

●姫路市文化センター大ホールに立つのは、皆さん初めてなんですか。
seek:俺は、浜田省吾さんのライヴのバイトで、照明のリハで立ち位置の目印に「ここ立ってください」って言われて立っただけですかね。
Lida:確かに立ってんな(笑)。センターやろ?
seek:うん。照明は当ててもらいました。

●見に行った思い出とかは?
DAISHI:俺はない。
seek:たぶんなんですけどね、地元の警察の一日署長をやったことあって。
Lida:いろいろやっとるな(笑)。
seek:小学校1年生のときで、そのときに文化センターに立ったんちゃうかな。開会宣言みたいなのをやった気がする。
DAISHI&Lida:すごいやん(笑)。

●最後に、初めての姫路市文化センターのステージ向けて、意気込みをお願いします。
seek:姫路から始まった5人が、あそこのステージに立っているところを見てもらいたいというのが一番強いですかね。覚悟を決めたし、いろんな人の思いを全部持ってステージに立ちたいと思っているので、ぜひその姿を見ていただければと思います。

DAISHI:僕は単純にヴォーカリストとしていい歌を歌いたいと思ってます。最近はそこが軸にあるんです。自分が納得できるような歌を歌えたらいいですね。

Lida:やっぱりこのご時世で、ファンの方も大変な思いをして、会場で見てくれてることはもう重々わかっているんで、その感謝と、ライヴができることの有難さを踏まえつつ、ステージに立ちたいです。その日は、これまでの曲も違う伝え方ができたり、違う受け取り方に聞こえたりすると思うんですね。そういうのを大事に、これからのPsycho le Cémuのためにも、姫路との接点のためにも、このエンターテインメントという大きなカテゴリーを奮い立たせられるような公演にしたいと思います。

<Psycho le Cému 理想郷旅行Z ~二十年後の僕たちへ…~>
2021年8月14日(土) 姫路市文化センター大ホール
open17:15 / start18:00
チケット好評発売中→https://l-tike.com/order/?gLcode=55215
S席 ¥19,800 / A席 ¥9,800
配信チケット→ https://cb-agent.zaiko.io/e/PLC-Himeji0814


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アプレゲール
インタビューという形を通して、アーティストがSNSなどで直接届ける言葉には乗らない“何か”を届けられたらと、コツコツがんばっています。その“何か”を受け取れた、と感じてくださったらぜひサポートをお願いします。大きな大きな励みになります。