妄想劇場 46話
第46話「違和感」
現場には後輩刑事の岡山も駆け付けていた。
「林先輩…何で…?……」
岡山が涙を溜めて呟いた。
部屋をくまなく探していた時、岡山が何かを発見した。
「警部ー!!あったー!ありましたーっ!!」
林のクローゼットの中から、遺書らしき物が見付かった。
西田と絵里を殺害し、それを悔いての自殺…
内容はそんな感じだった。
「西田の殺害は…林の仕業だったのか…
それを知った絵里君もまた…林の……林の手に……」
その時、橋爪の携帯が鳴った。
「あぁ、雄太か?絵里君は?絵里君の容態は?」
神妙な面持ちで話す橋爪を、ミユキは不安そうに見つめた。
「うん…うん…そうか…分かった…うん……」
橋爪がミユキに言った。
「絵里君、意識が戻ったらしい。医者の話では、もう少し遅かったら危なかったみたいだ…」
橋爪の言葉にミユキは安堵した。
「良かった…本当に……」
橋爪は、ミユキの肩に優しく手を置いた。
「取り合えず、絵里君の病院へ行こう」
橋爪とミユキは病院へ向かった。
病室には藤堂と絵里の姿があった。
「絵里さん……」
ミユキが絵里に近寄った。
「ミユキさん…橋爪さん…」
絵里は涙を流してこう言った。
「あの人が突然あたしのマンションを訪ねて来て…
お前が西田の娘だとゆうのは知っていたって…だから近づいたんだって…
逃げようとしたあたしに、あの人が…あの人がいきなり……」
小さい声を漏らしながら絵里は泣いた。
「…絵里さん……」
ミユキはそっと肩を抱いた。
「父さんも…あの人が……
本当なんですか??…」
橋爪は下を向いて小さく頷いた。
「どうして?どうして父さんを??何で……」
橋爪が絵里に言った。
「今、警察が色々と調べているから。詳細が分かったら絵里君に真っ先に知らせるよ。
とにかく、今はゆっくり眠る事だ。何も考えずに…
いいかい?分かったね??」
橋爪が優しく笑って言った。
絵里は頷き、そっと目を閉じた。
「もう一度、事務所に戻って洗い直そう」
絵里が眠ったのを見届け、3人は事務所へ向かった。
ドアが閉まってしばらくした後、絵里は目を開けた。
口元には、微かに笑みが溢れていた…
脚本家カザハナ