妄想劇場 38話
第38話「母と娘」
ミユキは松重を荼毘に伏した後、マリの病室の前に来ていた。
マリは心臓の状態が悪く、長い間入院していた。
パパの事を…どうやって話せばいいか…
ママに…何て話せば…
緊張の面もちで、ドアをノックした。
「はーい…」マリの声がした。
「ミユキ…来てくれたのね…」マリが寂しそうに笑った。
「あの…あのね、ママ…あの…」そう言いかけた時だった。
「パパが…パパが亡くなったのね…」マリが大粒の涙を溢して呟いた。
ママ…?…知っていたの?……
驚き見つめるミユキにマリは続けた。
「パパに…パパに全て聞いたの…あたしのせいで…あたしの……
ミユキのご両親が…亡く…なっ…たって…」
マリは嗚咽しながら続けた。
「あの人…あたしに…あたしに…心配かけまいと……
ずっと…ずっと今まで…1人で抱えて…て……」
マリが布団を強く握り締めた。
「パパが…昨日…昨日ここに来て……あたしに言ったの。
小日向さんの事…裏切って……
そして…2人が…2人があんな事に…あたしの…あたしのせいで…」
ミユキは目をキツく閉じた。
「ミユキ、ごめんなさい!ママが…あたしが全て悪いの!!あたしのせいで…パパを追い詰めて…あんな…あんな選択をさせて…しまって…あたしの……」
ミユキの手を掴みマリが言った。
「あたし達は、本当の娘として…今まであなたを大切に思ってきた…それだけは決して嘘じゃない…嘘じゃない…」
すがるように見つめるマリに憤りを感じ、その手を強く振り払った。
脚本家カザハナ