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妄想劇場 24話
第24話 「絶望の先」
放心状態で立ち尽くすミユキの前に現れたのは、弁護士事務所の阿部だった。
「大丈夫ですか?」
阿部がフラつくミユキを支えた。
「阿部…さん…」
「いや。実はずっと気になってましてね。橋爪先輩からも色々聞いてましたし。しかし、まさかヤツが…こんな事を…」
床に転がる学を見て呟いた。
「うっ…あぁ…痛ぁ…ぁ…ぁ…」
鶴瓶が小さな声を漏らした。
どうやら生きているようだ。
「あぁ…ミユキ…おるんか…こっちへ…」
差し出した手に嫌悪感を感じミユキは目を閉じた。
あの時聞こえた銃声は、阿部が打ったモデルガンだった。
「小田切さんは?小田切さん!!」
阿部がジョーの側に寄り、様子を伺った。
口元に手をやり確認すると、微かにだが呼吸を感じた。
「放火の件ですが、消防車が無事に消火を終えたので安心して下さい。じき、救急車が到着します。気をしっかり持って!」
その頃、けたたましく鳴り響いていたサイレンが、家の前で止んだ。
阿部は、到着した救急車にジョーとミユキを乗せた。
「自分も車で後を追いますね」
そう言うとその場を離れた。
救急隊員の様子だと、ジョーはかなり厳しい状態のようだった。
様々な処置が施されるのを目の当たりにし、ミユキは涙も枯れ果て混乱の中にいた。
ジョーの手を握り、ただ下を向きうなだれるだけだった。
ジョー…ごめんね…あたしのせいで…
病院までの道程は、とても遠く感じた。
「ミユキ…ミユキ…逃げて…早く…早く…」
ミユキは薄れゆく意識の中で、また同じあの夢を見ていた。
脚本家カザハナ