妄想劇場 31話
31話
「崩壊」
ミユキは目の前が真っ白になり
膝から崩れ落ちた。
「なんで…パパが、どう言う事?」
林が重い口を開き「話そうかだいぶ
迷って橋爪先生にも相談して
真実をわかった方がいいかと…」
「え?真実?パパが西田さんをころ
したって言いたいんですか!!」と
林に詰め寄ったのを橋爪が止めた。
「まぁ座りなさい」
橋爪は分厚いバインダーを書斎から
取り出した。
「ここには君の本当のご両親の
小日向文世さんの事も載っている
話が長くなるが大丈夫かい?
受け入れれるかな」とミユキの目を
真っ直ぐに見つめた。
ミユキは落ち着いて話を聞いた。
実の父、小日向は同僚の松重が
中国の会社とパイプを持ち岸辺と
繋いで不正な商品を流している事に
気づいた。その不正取引の証拠の
帳簿をどこかに隠したのだが
岸辺は竹内に手を回して小日向夫妻を
無理しんじゅを見せかけてころした。
岸辺の影響か警察もそれで処理した。
君が生き残ったが、情なのか監視の
ためか身寄りがない小日向さんだった
のでミユキ君を松重は養子に迎えた。
ただ、証拠がないし帳簿もどこに
隠したのか検討もつかない。」
長い間探してるんだけどね、と橋爪は悲しそうに語った。
「小日向さんがね西田に何かあったらミユキ君を頼むと言っていたのに…私達も調べて行くうちに松重が怪しいとわかったのは最近でそれはそれは
驚いた。君にも話すか本当に
悩んだんだがね」
ミユキは黙って聞いていたが
「少し考えさせて下さい」と
藤堂が送ると言うのも断り
事務所を出た。
パパが…なんか違う人の話を
聞いているみたいで実感も湧かない。成人式の前日に養子だった事を打ち明けられたが
大切に育ててくれた両親には
感謝しかない。監視のためって?私が何か覚えているとでも?あの時々見る夢……あれは本当の母なんだろうか?
夢では顔がはっきりとわからない。このまま実家に寄り
冗談だよね?といつもみたいにケーキでも食べて…と
そんな気になるはずもなく
フラフラと自宅にたどり着いた。
脚本家 ミユキ