妄想劇場 28話
28話
「密会」
翌週の土曜日の夜
ミユキと藤堂は車に乗り
「旬月」の入り口を見張っていた。黒塗りの車が到着し、
竹内が降りて来た。かなり
恰幅の良い男で雰囲気も普通でない事が伺える。危険な仕事をしてきたのだろう。目がギラギラしていた。
「中の会話はね橋爪のおやじが
仕込んでるからね」と藤堂が
軽く笑う。しばらくしてまた黒い車が到着した。
岸辺が降り1人で店に入って行く。藤堂も車を降り反対の道を小走りに駆けて行った。
料亭では岸辺と竹内が酒を頼み座っていた。「失礼します」と仲居が酒を運んできた。
2人が酒を注いでいる間に素早く仲居は机の下に盗聴器を貼り付けた。
藤堂は庭に面した部屋が見える垣根に隠れて岸辺と竹内をカメラに納めた。
車に戻り「後は盗聴すればオッケーでーす」とヘッドフォンを耳に当て機械を操作する。