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marius_skr8c
妄想劇場 3話
「疑惑の香り」
西田の、あまりにも突然の死を受け入れられず、ミユキは仕事が手に付かない状態だった。
気付いたら自然に涙が溢れて止まらない。
「一体どうして…誰が…」
ミユキは席から立ち上がり、1人屋上に向かった。
西田とよく2人で屋上に来ては気晴らしをした事を、ふと懐かしく思い出した。
西田はミユキにとって、尊敬出来る上司だけでない、父のようなかけがえのない、尊い存在でもあったのだ。
ふと、秋風がミユキの頬を優しく撫でた。
肌寒さを感じたミユキの脳裏に、突然ある事が浮かんだ。
「そう言えば西田さん…昨日…」
なくなる前日、西田から聞いた話だった。
「明日はきっと、私にとって特別な日になるはずなんだ。ある事が片付いたら、ミユキに全てを打ち明ける事がある。」
真剣な目をしてミユキを見つめ、西田は寂しそうに少し微笑んだ。
「昨日の事…あっ、あたし、気が動転してて忘れてた!刑事さんに、刑事さんに知らせないと!!」
ミユキが急いで屋上から降りようとしたその瞬間、ミユキはある事に気付いた。
「そう言えば西田さん、昨日はいつもと違う香水を付けてた。亡くなった奥様が好きだった香り、今まで変えた事なかったのに…」
不思議に思ったその時、もうひとつ、ミユキの頭に浮かんだ。
「あっ、でもあの匂い…??…あたし他でも嗅いだような…?…」
しばらく考えていたその時だった。
「あっ!今朝来た刑事さん!!西田さんと同じ匂いがした!!…偶然??」
急に鼓動が速くなり、ミユキは隠せない動揺と共に、あの刑事に対して疑念を抱き始めた。
脚本家カザハナ