妄想劇場 45話
第45話「忍び寄る罠」
絵里のマンションに到着し、インターホンを鳴らした。
全く反応がない。
「ガチで…これ、マジでヤバイ状況なんじゃねぇの??」
藤堂が不安そうに橋爪とミユキを交互に見つめた。
その時、橋爪が何かを思い出し暗証番号を入力した。
「カチャッ!!」
自動ドアが解除され、3人は急いでエレベーターに乗り込んだ。
「何?何?何ー?初めから知ってた的な??」
実は絵里から、何かあった際には…と、暗証番号を聞いていたのだ。
何かあったら…
皮肉にも、それが今だった。
絵里の部屋の階でエレベーターが止まった。
絵里の部屋に急いで行き、鍵を施錠し中に入った。
「……!!……!!!……」
鼻を突くような匂いがした。
部屋の灯りをつけると、そこには血を流し横たわる絵里がいた。
「絵里さん!!」
ミユキが駆け寄った。
「……キ…さ……ん……」
絵里がうっすら目を開けた。
「絵里さん!しっかりしてー!絵里さんー!絵里さーーん!!」
ミユキが絵里を抱き抱えた。
「あっ…あった…し…あぁ……」
みぞおちから大量の血が流れている。
「絵里君!しっかりして!今、救急車を呼んだから!」
橋爪が答えた。
絵里は再び目を閉じた。
微かに呼吸を感じた。
どうやら一命は取り留めたようだ。
「林が…林が絵里さんを?…」
ミユキは橋爪に訊ねた。
「その可能性が大きいな。とにかく、今は絵里君の命を救うのが先だ!
雄太、ここはお前に任せた。俺とミユキ君は林のとこへ向かう!!」
藤堂を後にし、ミユキと橋爪は急いで林の家に向かった。
林のアパートに到着し、部屋のドアをノックした。
橋爪はミユキの顔見て頷き、ノブに手をかけた。
「ガチャ…ッッ……」
……!!!………!…!!……
そこには、宙吊りになった林の姿があった。
脚本家カザハナ