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妄想劇場 39話

第39話「もうひとつの真実」
「止めてー!何も聞きたくないわー!!」
マリを睨み付けミユキは言った。
「パパのせいで、本当の両親は無惨に殺された。パパが岸部なんかに…お金なんかに揺れなければ……
全部、全部ママのせいよーー!!」
ミユキの口から、思ってもいない言葉がスラスラと出てきた。
あたし…何て言葉を…
こんな酷い言葉…どうして……
我に返ってマリを見つめると、マリは悲しそうに寂しそうに下を向いていた。
「そうね…全てあたしのせいよね…あの人は…虫も殺せない…気が弱い人よ…
だから、どうか…分かって欲しい…あの人は……あたしのせいで…選択を間違えた…人生を間違えたの…
全部、全部あたしのせいで……」
ひと息を付き、マリは続けた。
「あの日も…あの日…西田さんに会いに行って……
パパは…本当の事を…全てを…西田さんに話に行ったの……」
そんな事は証拠で見た画像からとっくに分かっている…
今さらそんな事聞いても、何も何も変わらないわ…
でも…本当に、西田さんに真実を告げる為に行ったとしたら…??…
「パパが…パパが西田さんを…こ…ころし…たんじゃない…の…?…」
ミユキは声を絞り出しマリに聞いた。
「そんなはず無いわ!あの人、本当の事を話に行くって…必ず伝えるって…
あの人覚悟して…出てったのよ!!
だけど、だけど事務所に着いたら…西田さんがいなくて…連絡も付かなくて……」
えっ?どうゆう事??…
画像では、パパが事務所に入るのが写っていた。
映像はそこで途切れてたけど、間違いなく姿が写ってた……
じゃあ…じゃあ…誰が…誰が一体西田さんを……
混乱したミユキは、近くの椅子の背にしがみついた。
「パパは…パパは本当に西田さんを殺してないよね?本当だよね??」
何度も何度も、ミユキは確かめた。
「絶対に違うわ!あたしがパパに誓って…誓って断言する。
あの人じゃない!!絶対に!!」
マリの瞳に嘘は無かった。
じゃあ…じゃあ…一体誰が……??
ミユキは慌てて病室を出て、誰かにTELを入れた。
脚本家カザハナ

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