妄想劇場 44話
第44話「告白の行方」
気が付いたら、ミユキは橋爪の事務所前にいた。
「ちょーっす!!お久しブリーフ!!」
ピースサインをしながら、藤堂が笑った。
「あ~れ……って…対応間違えた的な……失敗的な……」
気まずそうにそう答え、藤堂が橋爪を呼んだ。
ミユキは、今日あった出来事を橋爪と藤堂に話した。
深いため息をついて、橋爪がミユキを見た。
「やはり、あいつだったんだな。あいつが…みんなを……」
だけどどうして…
あたしの事も知ってたし…
って…一体いつから?…
「何か煽ってる感半端ねぇっすよねー。てか、開き直り??もしくは、宣戦布告的な??」
宣戦布告…多分そうなのかも知れない……
「…取りあえず、潜入は終了だな。
まさか、自分から告白してくるとは…
大胆で自信満々で…卑劣なやつだ……」
今まで見た事のない表情の橋爪がそこにいた。
「とにかく、証拠を固めないと。あいつの自白を確実な物にしないと。
あいつは警察関係にも顔が利くからね…
何かあったら握り潰すに違いない。
現に、林がそうだ。あいつの手下だったなんて…」
そう言いかけて橋爪が立ち上がった。
「絵里君!絵里君が危ない!!」
林の恋人である、そして西田の娘である絵里の事だった。
「まさか…知ってて…
それで絵里さんに近付いた…??……」
3人は顔を見合わせた。
「雄太!今すぐ絵里君に連絡して!!」
藤堂が慌てて電話をかけるが、絵里には繋がらない。
「社長、ダメっす!!」
藤堂の表情から焦りが伺える。
「絵里さんの身に何か……」
3人は慌てて事務所を後にした。
脚本家カザハナ