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妄想劇場 41話
第41話「逸る鼓動」
ミユキはJupiterにいた。
彩から、岸部達が来る事を事前に聞いていた。
「気を付けてね…」
彩がミユキの頬を優しく撫でた。
「マダム…ありがとうございます…」
ミユキは笑った。
「それと…これ…」
彩がミユキの手に何かを置いた。
「万が一…万が一何かあったら…これを使いなさい」
手には小さな小瓶があった。
「これは??」尋ねるミユキに
「少し時間を稼ぐ為の…媚薬…よ…」
彩は笑って、ミユキにウインクして言った。
「じゃあ、今から戦場へ向かうわよ。
ARE YOU READY??」
彩が差し出した手にミユキは手を重ね、2人は扉の向こうへ消えた。
ソファーには岸部と佐野が座っていた。
「君、こっちに座りなさい!」岸部がミユキを手招きした。
今日は津田がいない…
少し警戒しながら、ミユキは辺りを伺った。
ウイスキーを入れたグラスを、岸部に手渡した。
「ありがとう。どれ?うん、調度良いな!」
岸部の手がミユキの腰に触れた。
ミユキは押さえきれない嫌悪感と戦いながら、岸部に笑って見せた。
「今日は、お二人だけなんですか?」
さりげなく、津田の事を探った。
「ん?津田?やつは今日は別件でね…」
佐野と目を合わせながら答えた。
「え…っと…そうそう。後でもう1人客が来るから。そしたら席を外してくれるかな?」岸部が笑って言った。
「分かりました」
客??…
誰かがここに来るの??…
しばらく時間が過ぎた頃、佐野の携帯が鳴った。
「もしもし?ええ、ええ、いらしてますよ。ええ、では。」
電話を切った佐野は、岸部に耳打ちした。
「ごめんね~。客人の到着だ。」
両手を合わせ、岸部がミユキに言った。
「分かりました。では、失礼します…」
頭を下げミユキは部屋を出た。
誰がここに来るんだろう??…
一体?…
何かが胸につかえたかのような、そんな嫌な気分がした。
ミユキが控え室の扉を閉めようとしたその瞬間だった。
あっ…!あの香り…
西田さんが最後の日に付けてた…あの香り…??…
ふと振り向いたミユキの目には、ある人物が写った。
えっ??……
どうゆう事??…
何で??…何で……
何で…林さんがここに…??……
ミユキに気付かず、林はそのまま岸部達がいる部屋に消えていった。
脚本家カザハナ