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妄想劇場 30話

30話

「協力者」

ミユキは久しぶりにゆっくり湯船に
浸かり、その日は朝遅くまで
ぐっすり眠った。ジョーが意識を
戻したのが心底嬉しくて、安心した

その時、携帯が鳴り出ると警部の林
からだった。「お久しぶりです。話が
あるんですが会えますか?」

了承して、午後に橋爪事務所で
会う事にした。
林は「私ね、岸辺会長の周りを調べていたら署を移動なりましてね。
ですが絵里の親父さんの事もあって
なんとか手掛かりが掴めないかと
探っていたら見つけたんですよ」と
USBを差し出した。
「西田さんがころされた夜、西田さんが会社に向かう途中の監視カメラは
何も映ってませんでした。岸辺が
動いて消したんでしょう。ですが
営業の車がここで寝ていてね、
ドライブレコーダーに西田さんを
追う奴が映っていたんです」と
みんなでパソコンの画面を確認した。
「拡大してみますね」と林がマウスを
動かした。
映っている人物が拡大される。
上下が黒いスウェットに身を包み
帽子を被っている。
西田の後を追い会社の入り口に入る時に一度辺りを確認するように
振り向いた所で一時停止する。
拡大され映し出された、その男はミユキが誰よりも知る
父、松重豊だった。

脚本家 ミユキ

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