舞台芸術 ミカエラの衣装
カルメンに登場する人物の一人であるミカエラ。彼女はホセの婚約者で、彼の母親のことを大切に看病している心優しい女性である。しかしながら第二章、カルメンの魅力に虜になってしまったホセに振り切られてしまう。
と言っても、彼女はオペラの中で創出された人物であるという衝撃の事実。カルメンをオペラにするときに、台本作家のアンリ・メイヤックとリュドヴィク・アレヴィが、カルメンに好対するような人物を作り出したそうだ。しかしながら彼女は何と切ない人生だろうか。ただただホセのことを愛していて、その母親の重い病の看病もホセがいない中一人、ホセに会える日を待ちながらこなしていたのだ。この心の純粋さ、美しさというのは、衣装にも現れている。
彼女の名前は「慈悲の天使」「正義の天使」とも言われる「大天使ミカエル」から取られている。それもあり、聖母マリアを連想させる青色が使われる(聖母マリア=慈悲の象徴=青*)。これはオペラ界のミカエラの衣装としては決まりごとにもなっているようだ(*=ミカエラ)。また別の舞台、とある記事を覗いてみると、宝塚ではミカエラの衣装が純白なドレスを着ていた。投稿主もおっしゃっているが、私は義務教育の過程の中でオペラのカルメンを見てきていたからか、どうも違和感...を感じた。いや、決してだめではないが、人物の存在理由や象徴されるものを考えると(オペラから出てきた人物であるというのもあるが)青がどうしてもしっくりくる。
まぁ言い換えればこれは日本版カルメンである。いろいろなサイトから日本の中での「白」の意味を探ってみたが、結婚式やお葬式などで主に使われているようだ。特に結婚式に使われる白の意味には「心が真っ白な状態で嫁ぐ、誠心誠意、命をかけて嫁ぐ」と言ったものがあった。後者の意味を配慮すれば、ホセへの真っ直ぐな姿勢を崩さないミカエラに、純白の衣装を着せたのも何となく理解できる。しかもな、な、なんと!!!
カルメン”歌舞伎バージョン”が存在した!これはすごい。こちらの写真にあるのは日本舞踊 未来座=裁 SAI=「カルメン 2018」を2018年6月22日(金)~24日(日)国立劇場小劇場にて上演したものだ。右から二番目の女性がミカエラ役である。そしてこれまた白のお着物!やはり国によって異なる色の解釈が衣装にも現れている。
調べていく中で、「こんなにも衣装だけで表現方法があるのか」と思うことが多かった。また「カルメン」一つでこんなにも舞台の種類があるのかと関心した。その他にも多く舞台芸術が存在するが、これだけのこだわりが衣装に込められているのだと思うと、より一層に楽しめると思った。