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みよたの広場が大切にしていること

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みよたの広場は、長野県北佐久郡御代田町にある、みんなの広場です。誰かの手によって完成され、提供される広場ではなく、かかわる人たちでつくり続け、改善しながら使っていく広場です。

子どもも大人も過ごせる居場所となり、よい循環を生み出す拠点となり、新たな関係を結びなおす場となることを目指しています。

この「みよたの広場が大切にしていること」と題されたテキストは、みよたの広場がいま目指している方向性と、そこに向かうための考え方や価値観を、ことばにしたものです。

広場の利用は、あらゆる考え方や価値観を持った人に開かれていますが、広場の運営には、運営主体としての判断や決定が求められるため、一定の方向性と、考え方や価値観の共有が必要だという考えのもとに書かれました。

この広場を運営する側に関心を持ってくださった人は、まずはこれを読んで、おおむね共感できるかどうかを確認してください。もし、近しい方向を目指せそうだと感じてくださったら、ぜひ一緒にこの広場を運営していきましょう。広場に関することで、どうすべきか判断に迷うようなときには、一緒にこの文章に立ち返って、みなで考えましょう。

とはいえ、このテキスト自体も広場と同じように、完成版はありません。上に「いま目指している方向性」「おおむね共感できるか」「近しい方向」といった含みのあることばを使っているように、あくまで現時点での最新版を暫定版とし、議論を通じての修正の可能性に開かれています。「ここは違うのではないか」「こういう文言を付け加えたほうがいいのではないか」などと思うことがあれば、それもみなで話し合いましょう。

なお現時点では、このテキストの「私たち」という主語は、広場の運営に携わる大人たちを想定して書かれています。子どもが本格的に運営に携わるフェーズが訪れたときには、子どもを主語としたテキストもいずれ作られていくと考えています。

この文章は、2022年10月につくられ、運営コミュニティ内で共有してきたものです。このたび新たな運営コミュニティとして「みよたの広場 友の会」の会員を募集することに伴い、公開することにしました。

現在、以下の10の項目が、みよたの広場が大切にしていることです。

1.居場所をつくる

私たちは、この広場を、子どもも大人も、あらゆる人たちが「自分はこの場所にいてよいのだ」と思えるような居場所にすることを目指します。家でもなく、学校や職場でもない、第三の居場所を持つことで、あらゆる人が自分にとって心地よい暮らしをつくりやすくなるはずだと考えます。

2.子どもを見守る

私たちは、この広場を、まだ弱い存在としての子どもが、これからこの世界で生きていくための力を身につけていくプロセスを、大人自身も楽しみながら見守る場にします。子どもが自分の居場所だと感じられるように、子ども自身のやりたい気持ちを優先して、手や口を出すことは最低限にとどめ、目で子どもを見守ります。また大人にとっても、そのような姿勢で子どもを見守ることそれ自体を、この広場で時間を過ごすあらゆる大人にとっての大切な役割と位置づけることで、この広場を自分の居場所と感じられるようにすることを目指しています。

3.経験の機会を大切にする

私たちは、子どもにとっては失敗も必要なプロセスだと考え、見守る大人は子どもを助けすぎることなく、ぎりぎりまで子ども自身の経験の機会とすることを大切にします。大人が事前に危険を察知したものをただ禁止していくことよりも、子ども自身が危険を察知する力を経験的に身につけることのほうが、結果的に子どもの安全につながるはずだと考えます。また同様に、子どもだけでなく大人にとっても、新たな経験をする機会が暮らしの中にあることを大切に考え、イベントやワークショップなどを企画します。

4.寛容な態度でかかわる

私たちは、この広場に訪れる、年齢も性別もさまざまな、あらゆるバックグラウンドをもった人たちと、互いにできるだけ寛容で、真摯な態度でかかわり合う場にすることを目指します。たとえ考えが違ったとしても、互いに何かを強要することなく、存在を認め合い、同じ地域の中でそれぞれが心地よい暮らしをつくっていくことを志向します。

5.慣例を見直す

私たちは、過去そうであったという理由で慣例的に踏襲されてきたことに対して、無自覚にそれに沿うことなくひとつずつ見直し、どうあることがより好ましいかを考え、話し合うことを志向します。たとえば、安全面を考慮して隣地との境に柵をつけるべきという声が上がったとして、それを慣例に沿ってそのまま受け入れるのではなく、法令を遵守することは前提としつつも、子どもの安全とは何かという観点から見直し、より望ましい運用の可能性がないかを議論することを大切にします。

6.コミュニティに開く

私たちは、この広場をできるだけ多くの人に開かれた場にします。運営に中心的に携わる人は自ずと限られたとしても、できるだけ議論はオープンでフラットなものにし、限られた人たちのための場ではなく、あらゆる人たちに開かれたコミュニティのための場にしていきます。そのために、日々の活動やイベントなどを通じて、なるべくそれぞれの人にとって関わりやすい機会を生み出していきます。

7.差し出す

私たちは、この広場やそこに集まる人たちのために、作業の人手、自然資源、道具、能力や知恵、子どもを見守る目など、それぞれが自分の持っているものを可能な範囲で差し出していく姿勢をとることで、互いに支え合えるような場づくりに取り組みます。差し出すときは、なるべく見返りを求めることはせず、必ずしも平等であることを第一としません。人それぞれ、おかれている状況が異なるからです。それぞれが負担の少ない範囲で、自ら貢献をしたくなるような関係を築くことを目指します。

8.共有と循環をうながす

私たちは、この広場を拠点として、差し出しあったもの、共有できるものは互いに共有し、できるだけ地域の中でよい循環を生み出していきたいと考え、それを積極的にうながす仕組みをつくります。人と人、人と自然とが、新たな関係を結びなおすきっかけになればと考えます。

9.お金を介する機会を減らす

私たちは、自分たちの暮らしに必要なものを、お金を介して手に入れる機会を少しでも減らすことを目指します。もちろん、現代社会で生きていくにあたってある程度のお金は必要ですが、それぞれが持っているものを差し出し、うまく共有と循環を促すことができれば、それまでお金で買っていたものやサービスを、結果的に誰かから受け取ることは起こり得ます。そのような機会を増やすことで、お金をそれほど使わなくても豊かに暮らせるようなあり方を目指し、その拠点として運営します。同時に、この広場の運営自体においても、3年間の助成期間のあとは自走していけるような仕組みをつくります。

10.森とつながる

私たちは、人工的な更地だったこの広場を森に還すことを目指し、そのプロセスとして森とのつながりを大切にします。必ずしも自然の森に戻そうということではなく、森を共有と循環の象徴としてとらえ、現代の地域社会における拠点のあり方として、森に学び、コモンズとしての広場をつくっていきます。その中で、気候変動やエネルギー問題など、地球環境の課題について自分たちができることに対する理解を深めます。まずは地域の森を整備し、その有機物を広場に持ち込み、土壌改良のための資材や、寒さをしのぐエネルギー源、子どもの学びの材料などとして活用することを通じて、人と森との有機的な関係をつくることを試みます。


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